”やめられない止まらない”『ハード・ラッシュ』


 マーク・ウォールバーグ主演作!


 かつて、伝説の運び屋と言われたクリスだが、家族のために足を洗い、警備会社を立ち上げて忙しく働く毎日。だが、妻の弟アンディが、彼を真似て運び屋をしたものの失敗、麻薬を海に捨てる失態を犯す。巨額の借金を負い、家族の命まで危険にさらすアンディを助け、妻と子を守るために、クリスは再び運び屋稼業に手を染めるのだが……。


 『X-MEN ファースト・ジェネレーション』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110612/1307871121 )の音波男ことケイレブ・ジョーンズ君(ごめん、『アンチヴァイラル』見逃したよ)演じる弟分の大失敗を、その姉ケイト・ベッキンセールの夫で、元運び屋のマーク・ウォールバーグが尻拭いするという話。


 父以上の実績を持ちながら、足を洗った伝説の運び屋、ということなのだが、運び屋の本分は「見つかってはいけないもの」を「たくさん」「長距離」「見つからないように」運ぶということなんだな、当たり前だが。つまり、その伝説通りのテクニックをスムーズに発揮したら、何も起きないまま映画が終わってしまうことになる。
 それでは盛り上がらないので、本人以外に起因するところからあの手この手でトラブルを起こし、お話を盛り上げるわけだ。地元に残ってる妻子にも大ピンチが襲いかかり、身内には裏切られ、義弟は相変わらずバカで、相棒はビビってて……。何もかも予定通りにはいかず、トラブル続き! いやあ、計画は完璧だったのになあ。人に足を引っ張られまくってますね。


 ただまあ、ここからが伝説の運び屋の真骨頂で、オープニングで官憲に捕まった途端に無策にもブツを海に捨てたケイレブ君に対し、マーク・ウォールバーグは二重三重の、「見つかった時のためのセカンドプラン」を用意しているのである。そんなテクニックぶりは見所であった。


 足を洗って堅気の商売しているはずが、いやいやながら復帰せざるをえなくなり、危ない綱渡りを繰り返して家族もひどい目に合わされて……という展開になるんだが、「やっぱり堅気が一番だよ!」と刑務所に入っちゃってるお父さんも言ってるにも関わらず、オチはあまり教訓的にならず、かえって大儲けしてたりと、実に能天気な印象を与える映画であった。まあダメと言えばダメだが、うるさく言うほどのことでもないか……。

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