”永遠の先輩、不滅の後輩”『2ガンズ』


 デンゼル・ワシントン主演作。


 メキシコの片田舎で、マフィアのために運び屋をやるボビーとマイケル。対照的なでこぼこコンビに見える彼らだが、実はボビーは麻薬取締局の捜査官、マイケルは海軍の士官で、しかも互いにそれを知らなかった……。組織の隠し金の在処をつかみ、証拠を押さえるために強盗まがいをした二人だが、実はそれは仕組まれた罠で……。


 デンゼルが「気楽にやりたいなあ」ということで引き受けた仕事だそうで、ひたすらマーク・ウォールバーグと漫才をする映画でありました。
 永遠の先輩キャラであるデンゼルと、不滅の後輩キャラであるマーク・ウォールバーグは、初共演とは思えないぐらいに噛み合っていて、会話もほどほどのテンポで、だれない程度にまったりと進む。
 まあ序盤のレストランのシーンなど、『パルプ・フィクション』の冒頭を10倍ぐらいに薄めたようなぬるさなんですけどね!


 ボンクラ犯罪者コンビかと思いきや、デンゼルはDEA、ウォールバーグは海軍のそれぞれエージェントであることが明らかになり、さらにマフィアやCIAも絡んで切り捨てられた彼らは、全組織を敵に回すことに! 黒人の先輩と白人の後輩が不平たらたらに漫才しながら景気良く銃をぶっ放し、悪者は成敗、ラテン美女は二度も脱ぐ! ほどほどにグロいシーンもあり、刺激的ながら気楽に観られるという、好バランス。キャストもそこそこ豪華だし、何も考えずに眺めてるだけで退屈しない。
 出てくるキャラクター、主人公も敵側もまったく善人は出て来ないのだが、力み返って「悪」とか呼ぶよりは「ワル」だったり「小悪党」だったりで、ちっとも重厚にならない展開も好感触。そのせいで話が薄くなるから、色んな組織を寄せ集めないといけなかったが、どっちみち薄いあたりもいいね!


 デンゼル映画としては、近年、高尚な善玉キャラから距離を置いたのにも関わらず、『フライト』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130325/1364037128)みたいな二面性を演じなければならなかったりして、結構しんどかった彼が、ワルデンゼルだけど中身は大してない、というノーストレスなキャラを演じられた、ということがポイントなのかもしれませんね。


 見終わっても何にも残りませんが、TOHOフリーパス月間の締めくくりとしては、最高の映画でありました。