"甦る無影脚"『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』


 ツイ・ハークジェット・リーコンビ、再び!


 明の時代。皇帝の子を身ごもった宮女スーとそれを助けた剣客リンは、「龍門」と呼ばれる砂漠の宿にやってくる。そこは数十年に一度、砂の底に眠る幻の都市が現れると言われる地であった。圧政に立ち向かう義士ジャオとスーを追う宦官ユーの配下や、財宝を狙う盗賊団も「龍門」に現れ、一触即発の気配が漂うのだが……。


 なんか大した宣伝もないまま、急に公開されたなあ、という印象で、ろくに予備知識も仕入れないまま行ってきました。
 中国全土を股に掛ける超大作史劇かと思ってたら、実は舞台の限定された宝探しの話だったんだな。序盤にバラバラで登場したメインキャラクターたちが、砂漠の宿屋に集結してくるという筋書き。我らがジェット先生を主軸に、中国の永作博美ことジョウ・シュンとチェン・クンの『画皮』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120829/1346162024)組、『孫文の義士団』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110312/1299929052)のクリス・リー、『海洋天堂』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110724/1311485181)からグイ・ルンメイ、全然顔がわからんけど(笑)『イップ・マン』シリーズ全作出演のルイス・ファンも出ておる。近年のカンフー映画で活躍したキャストが多数登場しているだけで嬉しいのであるが、小さめの舞台設定とシナリオにキャストと予算を全てぶち込む、という作りが実に贅沢でいい感じ。いい食材と手間暇をかけて大量に焼きそばを作る的なね……。


 しかしながら決してこじんまりとはならないところがツイ・ハーク的な持ち味というもので、前作『王朝の陰謀』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120509/1336566766)の仏像のように、竜巻や遺跡など巨大ガジェットを派手に見せることも忘れない。本国では3DIMAXで公開されたこともあり、『白蛇伝説』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120821/1345547619)的なトンデモ感もあり。ただやはりCGが勝ちすぎていて、画面上のスケールの大きさと裏腹に、「スタジオから一歩も出ずに撮っている」感がどことなく透けて見えたのは残念であった。
 そんな中でもクライマックス手前、ジェット・リーらが宦官率いる軍団に少人数で手分けして当たる辺りの展開は空間に広がりがあってわくわくしたものである。各所に配置されているキャラが全部有名キャスト、という贅沢さ。女優陣も全員が武術の達人なので、見せ場もそれぞれバッチリだ! 相変わらずクリス・リーは華がないが、今回も硬派キャラ。美味しいところはグイ・ルンメイが持って行ってしまう感じで、なんとなく不遇だが。最近どんどんカンフーづいているジョウ・シュンは今回も大暴れ! 大ピンチに現れて美味しいとこを持っていくとこも最高だ!
 冒頭では往年のスター、リュー・チャーフィーの登場も! 『画皮』では優柔不断っぷりが爆発していたチェン・クン、今回はメイク変えて二役。宦官とそうじゃない男の二役なのだから、そこらへんもちょっとつつけば面白かったのに。悪役演技は結構良かった。ルイス・ファンは仮面の男役で、全然出てるのに気づかなかったわ……。ラストはジェット先生が無影脚で締めてくれます。


 いや〜、これは大スクリーンで観られて良かったです。最初から最後まで楽しく堪能したわ。

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