"幽霊の追う光と影"『ゴーストライター』


 ロマン・ポランスキー監督最新作。


 元英国首相アダム・ラングの側近が死んだ。ラングの自伝を代筆していた彼の死を受けて、新しいゴーストライターが雇われる。スキャンダルを避けてアメリカに渡ったラングの滞在する島に移ったゴーストライター。だが、彼の周辺で不可解な事件が……。側近の死は本当に事故だったのか? そして、遺稿に隠された秘密とは?


 主人公である「ゴースト」ことユアン・マクレガーの視点でのみ話が進む、小説で言うならば一人称的な、非常にコンパクトなお話。政治、スパイ、酒、殺人、男と女…… 奇を衒ったガジェットは何もなく、古典的な陰謀譚が展開される。ほんとに筋だけならびっくりするぐらいひねりのない話で、オチにも逆に驚いたぐらい。
 それでも、雨の降りしきる孤島のロケーションを端正に撮り切った演出力は素晴らしいし、 ラストシーンなんかはもう「イイネ!」ボタンを連打したいぐらいの格好良さ。演出に酔う、というのはこのことですね。
 舞台がアメリカなのだが、ほぼ孤島のみの話で主人公もイギリス人。それが逆に、近くだけど同じではないアメリカという国を斜めから見ているような感覚があって面白かった。無論、それがラストにもつながってくる。アメリカに「加担」した立場のイギリスという国の罪と罰だ。
 ただまあ、さすがにこのボリュームの話で2時間8分は長かったかなあ。100分ぐらいで観たかったね。


 さて、主役ということで、ユアン萌え向けのサービスショット多し。自転車に乗ってはよろけ、尻を出し、ベッドシーンでも「下」。あまりの受けっぷりに驚くね。これは、ユアンは俺の嫁、と言ってる某氏(id:susahadeth52623)は必見だ!
 さらには、そのユアンからの視点としての、熟女萌え要素も若干あり。人妻! しかも元ファーストレディ! んあ〜、ダメだダメだと言いつつも誘惑に負けるユアン。弱すぎる! 女の涙に弱すぎるよ! ここでまたユアン萌えに振れ幅が戻るのである。


 どうしちゃったんだよ、ロリコン!と思うところだが、もうポランスキーもおじいちゃんだし、ユアンもオリヴィア・ウィリアムズも今の彼からすれば少女みたいなもんなのだろう。甘めのクラシック、ビターなチョコレートケーキのような味わいの佳品。

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