"一部、固有名詞を変更してお送りします"『軍鶏』
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両親を殺した罪で妹とも離ればなれになり、少年院に入れられた少年、成嶋亮。ひ弱だった彼は生きるために体育教官の黒川に空手を教わり、過酷ないじめや懲罰を耐え抜く。娑婆に出た彼は妹を捜しながら、暗黒街で男娼として生きていた。ある日、空手会の雄・正道会館の石井館長によって開催された格闘技興行『K-1MAX』を見た彼は、そこの王者であり富と名声を欲しいままにする男・魔裟斗に対し、激しい憎しみを抱くようになる。
K-1ファンとしては注目せざるを得ない魔裟斗さん出演映画。役は本人……ではないんだが、まあ本人と思った方が面白いのでそういうことにする。だいたい、オレ漫画読んでないし! ほんとにそうとしか思えなくなってくるんだよ! 一応、空手家ということになっているので、空手着で型を披露する魔裟斗さんという世にも珍しいものが見られる。正拳突きとバックスピンキックを炸裂させて残心の構え!
石井館長役は『カンフーハッスル』のブルース・リャンがあの異様な風貌をそのままに演じており、毒々しい面構えで、武術家に富と名声を与えたいと言うK-1の理念を語る。魔裟斗と一瞬だが手合わせするシーンもあり、魔裟斗VSブルース・リャンって、なにこの異次元対決……。
そして、ブルース・リャン=石井館長の側近が、なぜか微妙に安廣一哉に似ていたりする。
クライマックスの撮影中、うっかり力が入って本当にショーン・ユーをKOしてしまったという魔裟斗さんだが、確かに普段の試合では考えられないような鬼の形相で、得意の飛び膝やコンビネーション、左右ハイキック、さらに怒りに任せた大振りのパンチまで繰り出してKOを狙う。実は成嶋亮は、魔裟斗と対戦するために、彼の恋人である矢沢心をレイプして挑発していたのである……。
あ〜、だいぶん現実と映画がこんがらがってきた! 正しい役名やキャストなどはwikiでも見て下さい。
魔裟斗さんが83キロもあるという設定で、途中で出てくるタイ人も80キロらしい。いないよ、そんなタイ人! ショーン・ユーもソフトマッチョだが、76キロには見えない。それに何、この体重差……。
やり場のない怒りと痛みを抱え、どん底から這い上がろうとする主人公にはまずまず魅力もあるし、格闘シーンも本物の格闘家か、アクション慣れした香港のキャストを起用していることで迫力もある。ストーリーのカオスっぷりも、漫画だし、香港映画だし……ということで、無問題。スポ根ものの文脈を外した展開のせいで、変な映画だなと言うしかなくなっているが、キャストの魅力と、現実とフィクションの交錯ぶりを笑って楽しむ分には、なかなかいい映画ではないだろうか。
ちなみにこれ、魔裟斗さんの引退前の出演作。出番はそこそこ、台詞は少なめ。さて、K-1を引退した今、次作ではこんなVIP待遇ではなく役者としての力量をもっと問われることになるぞ。さあ、その時が楽しみだ。
- 作者: たなか亜希夫
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