『青春』魔裟斗

- 作者: 魔裟斗
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/03/05
- メディア: 単行本
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古本屋で売ってたので、買ってしまったよ。昨年引退した、魔裟斗の自伝!
水泳に明け暮れた小学校時代から、サワーとの引退試合までを完全網羅。まあ内容は、これまで雑誌のインタビューや記事等にも散々書かれてきたことなのだが、やはりMAXから見始めた僕にとっては、コロシアム2000での試合の話等、それ以前のエピソードは新鮮。ヌアトラニーが魔裟斗の実家に連れ帰られてしまうあたりも、何をやりだすんだこいつは……という感じ。
MAXの話でも、最初の日本トーナメントで、自分に負けた選手(村浜と後藤のこと)が、決勝前に小比類巻のところに行って、「オレがダメージを与えといた」「奴に勝たれたらキックも終わりだ」と発破をかけていたことを暴露。それに対し「信じられない言葉」とナイーブな反応を見せる魔裟斗自身。
あ〜、面白い。正直、当時の感情等、今振り返った結果、ちょっと大袈裟に作ってしまった部分も多いのではないかと思うが、それでも自伝らしい「魔裟斗」の素の姿が見えてくる。
シンプルにまとめられた一冊になったがゆえに、魔裟斗の他人に対する無意識の割り切りが、かなり露骨に出ているように思う。まず自分がいて、その周囲に家族やヌアトラニーさんなどがいて、さらに遠くに対戦相手がいて……。
対戦相手は本当に対戦相手、敵として、スタイルや拳の堅さみたいなことしか書かれていない。敵の内面なんてどうでもいいのだ。それに対し、家族やコーチ陣、石井館長等はかなり思い入れがあるように描かれている。だが、その思い入れにも、どこか距離が感じられる。これこれこういうことをしてくれた、というエピソードが中心。矢沢心は同棲時代こうして支えになってくれた、飯田コーチはこういうテクニックを教えてくれた。そういう暖かいエピソードにも事欠かない。だが、それによって自分はこう変化した、こう成長したと、それら一つ一つがまるで自分の人生の彩りであったかのように書かれている。
そして、本文中でそれ以上に繰り返し強調されているのは「孤独」だ。
まあ、自伝と言うのは本来そういうものだろう。自分が主役、他の人は脇役。そういう風に書かなければ成立しないし、そういう風に書ける人間でないとそもそも自伝を出そうなどと思いつかないだろう。
だが、対戦相手とのなれ合いを嫌い、最初は誰もが笑った野心を胸に戦い続け、人に真似出来ないことをやってのけたこの男には、本当に相応しいと思える。いや〜、本当にオレ様で、自分大好きな男だ……。
しかし、強敵として描かれたコヒ、クラウス、ブア、サワー、佐藤、キシェンコなどはまあいいんだが、KID戦は「たまたまダウン」、川尻は「一方的なKO勝ち」と簡単に片付けられたり、先の村浜たちは完全なる雑魚扱い(しかも志の低いバカ)。それでも出ているだけまだましな方で、一度たりとも登場しなかった谷PやHIROYAは彼の中でいかなる存在だったのか、ちょっと気の毒になってしまう。たぶん、全日本キック脱退後の苦しかった時期についてきてくれた人の印象が強過ぎて、K-1MAX後に登場した人間は、本当の意味では彼の仲間にはなれないのだろうね。
DVD『魔裟斗伝説』と合わせると、より楽しめますよ!

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