そっけなく終わりましたが続編は出ません『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
パート1
http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20100210/1265815121
パート2
http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20100913/1284392346
ついに三部作完結!
瀕死の重傷を負ったリスベットは病院で治療を受け、同じく重傷のザラも、同じ病院へと運び込まれていた。長年、ザラの身元を秘匿し続けて来た公安OBからなる組織は、自分たちの犯罪を隠蔽すべく、二人を抹殺しようとする。
退院後は拘留され裁判を受けることになるリスベットのために、ミカエルは妹アニカに弁護を頼むと共に、裏で糸をひいてきた組織の存在を暴こうとする。その彼に、現在の公安も接触し……。
パート1からちょろちょろ語られて来た伏線を全て回収し、法廷劇で締め。パート2もそうだったのだが、今作ならでは、という魅力に相変わらず乏しい。単に続き物の続編となってしまっていて、独立した面白さに欠ける。
後半の裁判シーンに至るまでの溜めも少々足りなかったかな? この話は人間不信のリスベットが、ミカエルたちとの関係を通じて少しずつ変わって行き、頼れる者など誰もいないと思って背を向けていた世界に、ついに正面から対峙するというもの。お互いは知り合いでもなんでもない彼女の友人たちが、父親と権力によって虐げられて来た彼女を救うためにそれぞれに動き、やがて協力しあい、法廷の傍聴席に集う……というところは、もっと感動的な場面になってもいい。が、淡々とした演出のせいで、そういう意図が伝わりにくくなっている。原作は表に出ないリスベットの心理を書き込んであるが、見た目はツンツンしっ放し。そこを補う映画ならではの演出が、もう少しあるべきだったと思う。
裁判のシーンでも、リスベットが自らの過去を自ずから口にする、というのは、これは大変なことであり、それまでの彼女からは絶対にあり得ないようなことなのだが、そこがどうも描き切れてないように思える。
裁判の進行も証拠のあるなしがメインで、法廷劇ならではの奇策なども見られず物足りない。
結果、決着がついても「ああ、終わったね……」という程度の感慨しか湧かないのだ。
いやねえ、本格的にリスベットがデレる展開は、あるいはもう少し先の続編に用意されていたのかもしれない……しかし、作者がお亡くなりになってしまったので、これで終わりです。残念!
ちなみに映画ではまったく触れられてないんですが、原作ではリスベットには双子の妹がいるんですね。登場はしないが、存在は明らかになっていて……。リスベットは「性格合わない」「バカ」と評してますが、この妹は成長したらきっと父親譲りの悪魔的な才能を発揮して、続編以降で姉の前に立ちはだかったと思うんだなあ。いや、残念!
- 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利
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