2009/09/26 K-1WGP2009開幕戦 試合感想

 さて、いささか新味のないカードが並んだ開幕戦。果たして盛り上がりを見せたのか?

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▼第1試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長1R

金 泰泳(日本/正道会館
VS
カタリン・モロサヌルーマニア/ローカルコンバットチーム)

 ちょっと金は様子見気味な出足。モロサヌも、無理には出ないが、結構リーチいっぱいでパンチ打ってるな。中盤、金がミドルから膝蹴りを突き刺し、ボディを効かす。モロサヌのパンチと、執拗なローもヒット。結構おもしろくなってきた……と思ったんだが、拍子木で引き上げようとしたモロサヌに、金が一発。ラスト10秒の打ち合いのはずが、熱くなったモロサヌが金をゴング後に殴り倒してしまった。
 うーん、こんなとこまでボブ・サップを見習わなくても……。どうやら立ち上がった金がマイクで再戦を誓い、その場を収めた。うーん、プロだね。


▼第2試合 FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R
レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム・ボンヤスキー
VS
メルヴィン・マヌーフ(オランダ/マイクスジム)

 おたがい慎重な滑り出し。どちらも狙っている技があり、それを探りつつという戦いだったなあ。だいたいの手の内は知っている中で、レミーは飛び込んでのフック、マヌーフはカウンターの膝と中間距離で来るローを警戒。慎重にポイントを狙うレミーと、アッパーを狙うマヌーフ。レミーは復帰戦ということもあり、いまいちリズムに乗って来ない。2005年頃の調子悪い時みたいな動きだったな。まあそれでも勝つわけだが……。
 3ラウンドも、微妙なダメージ差でポイントを取ったレミーが逃げ切った。
 うまく因縁が噛み合ず、終始低調な試合。


▼第3試合 FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R

エロール・ジマーマンキュラソー島/ゴールデン・グローリー
VS
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館

 これまた噛み合ない試合……。
 グラウベも、ジマーマンの危険さは充分わかってて、特に強引にガードを払って打ち込むパンチには対策立てて来てたなあ。しかし、澤屋敷ならあっさり倒したジャブも、ジマーマンは少々動きが止まるだけで効いた素振りを見せない。タフだ……。
 ミドルは入るんだが、グラウベはその後パンチの逆襲を受け、ガードこそ固いものの攻め手をつかめない。お互い削り合いになったが、判定はジマーマンに軍配。
 やはり去年弱々しいイメージを曝け出したのが、グラウベは響いたかな。延長かと思ったが……。


▼第4試合 FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R
京太郎(チームドラゴン)

VS
ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)


 いきなり下がりまくる京太郎! ローとカウンター狙いか? カラエフは追いかけるが、ちょっとジャブが伸びるようになったか……? ぎりぎりの距離からのワンツーが、結構届く。京太郎のローもカウンターも、このわずかな距離の違いでいまいち当たりが浅いか? カラエフは打ってから頭を振る動きも、幾分スムーズになってたかな。京太郎のカウンターも何発か当たってるんだが、効くほどのダメージにはならない。
 こうなると手数で勝るカラエフに、単発でしか応戦できない京太郎はどうしてもクリンチにいってしまう。フックをダッキングでかわしても、その後は組むしかないからなあ。どっかでダウンを取るか、あるいはカラエフをいらつかせて雑な攻めを誘うか、そういう戦略だったのだろうが、3RのK-1で「ミス待ち」の戦術は諸刃の剣。今日はカラエフも粘り強かった。
 判定は手数で圧倒したカラエフ。京太郎もまだまだ経験が必要だったな……。


▼第5試合 FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R

エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館
VS
シング・心・ジャディブ(インド/TOWIN) 


 ん〜、最初は突進したテイシェイラだが、距離を取るシングの攻めに手こずる。ここでオールドファンは、2001年のフィリオVSセルゲイ・イバノビッチ戦を思い出そう(笑)。全然ヒットできないが、まあ攻勢点だけで勝てるかな、と思われたテイシェイラだが、3ラウンドにシングの膝の直撃でがっくりと腰が落ちる。
 延長の4ラウンド目は手数でも押され、大ピンチ。べガスなら完全に判定負けだな(笑)。延長も何で勝ったかわからんままに勝利。
 この日のワーストバウト。やっぱりリーチ差って大事だな……。テイシェイラは毎度毎度当て勘がいまいちだね。後は、来い来いとパフォーマンスするとか……(笑)。


▼第6試合 FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R

セーム・シュルト(オランダ/正道会館
VS
ダニエル・ギタルーマニア/カマクラ)


 壮絶な凡戦が続くが、まだ楽しみな試合が残っている! さすがは開幕戦だ! 
 ローと左右のフックで対抗するギタに対し、左ジャブを突き刺すシュルト。細かく当てるシュルトに対し、何発かクリーンヒットを奪うも、大きなダメージを与えられないギタ。最初は互角だったものの、徐々に流れが傾く……。左ハイキックのヒットも通じず、ペースを守るシュルトさん。ジャブに耐え続け、バランスを保ち続けて強打を振るったギタもまた、やはりただ者ではなかったのだが、巨神兵強し。ついにレンガジャブと右ストレートの前にダウンを奪われた。
 ん〜、残念! ギタはローも走ってたし、ブレギーやスロウィンスキーなど問題にならんぐらい健闘したんだが……。相手が悪かったなあ。別な相手と見たかった。シュルトさんは復活……というか、いつもこれぐらいの調子だろう。



▼第7試合 FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R

ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X tream Team)
VS
武蔵(日本/正道会館



 いよいよ、引退の日が来たか……。誰もがリングを去る時が来るのだが、もうとっくにメインストリームから消えててもおかしくなかったこの男が、去年に続いてまた開幕戦のリングに立っているのは、やっぱりおかしいよね。もう絞る事もできなくなったか、また緩いボディで登場したが、なぜかそのパワーに任せパンチ勝負に出る!
 いやいや、そういうことは、お遊びのセレモニー的引退試合でやってくださいよ(笑)。ここは優勝を目指して戦う場だから。そんな特攻のような試合を、最後だからとやってみせるようなロマンティシズムがあるなら、なぜ今まで見せなかったんだ? そりゃあそれでは勝てないのもわかっていたけれど……。でもねえ、SIOは武蔵流だからこそSIOだったわけで、そんな角田さんのような勘違いした男魂を今発揮したところで、所詮は付け焼き刃だ。近年はローを効かされる場面も増えたし、あるいは本当に蹴られなかったのかもしれない。
 その武蔵に、蹴りを封印してパンチ勝負に挑むバンナ。バンナこそ、ローやミドルを多用していればもっとあっさり勝ったんじゃないか? 1〜2ラウンド、ろくに手を出さずに付き合い続け、3ラウンドは強引なラッシュで粉砕。ワンツーどまりなら防げる武蔵も、それ以上の連打にはまったくついていけなかった。頭を振っても格好だけだったな。

 終わってみて、結局この武蔵と言う選手は何がしたかったのだろう……?という疑問だけが残った。いや、ある時はポイント取るだけででも勝ちたいと思い、ある時を境にやっぱり倒す試合もしたいと思い……人間てそんなもんだろう。加えて彼は興行からの要請とでも言うべきものに、唯々諾々と従って来た。わからなくて当然かもしれない。別に何もなかったのだ。彼は試合後、「外国人ともやり合えるということを見せたかった」と語った。それが目標であり、彼の存在理由だったのだ。トップ戦線に混ざり続ける……。そこで長く戦う……。優勝やその先の名声、そんな野心があったわけではなかったのだ。あるいは、それこそが外国人と戦い続ける中、彼が悟った限界であり、自ら定めたギリギリの目標だったのかもしれない。そして、K-1という組織もそんな彼を支え続けた。
 確固たる自意識もポリシーも感じられず、それでいて守られている……。そんな状況の中で、K-1を支えて頑張って働き続けて来た。彼は実に優秀で立派な……「サラリーマン」だったなあ(笑)。退職おめでとう。


▼セミファイナル(第8試合) FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R

ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
VS
アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー) 


 やばいくらいに絞り込んで来たアーツに、あり得んくらいにでかいアリスターアリスターは、アーツの初弾のローに飛び込んでパンチを合わせる。その後も押し込んで左膝、さらに打ち下ろしの右フックと、バダ・ハリを倒したコンビネーションが炸裂する。アーツは距離を取ってコンビネーションを狙うが、上のガードは固く、ローも読まれている。
 組んでは倒し、アーツを圧倒するアリスター。これは投げというよりも、組際の入れ替えだから、そんな簡単に反則は取れないよなあ。アーツもこの程度の崩しは使うし……。
 パワーと圧力で圧倒し、強打と組みで崩すアーツのスタイルが、そっくりそのまま返されてしまった。崩しとパンチを凌いでも、フォローのローキックで削り取る……。3ラウンド目のアリスターのローキックは、まさにアーツの戦略そのもの。より強くより速い自分には絶対に勝てない……長所を全て潰されたアーツは、3ラウンドを全てポイントを取られ、屈辱の惨敗。
 アーツはもうちょっと足を使う戦術が欲しかったが、己への過信か、相手への過小評価か、真っ向勝負してしまったなあ。これでまた、時代が一つ終わった。


▼メインイベント(第9試合) FINAL16 K-1ルール 3分3R延長2R

バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
VS
ザビッド・サメドフ(ベラルーシ/チヌックジム)


 ん〜、バダ・ハリでかいね……。ちょっと前までは100キロジャストだったのに……? 108キロって……なに……? 108キロもあったら遅いんじゃないかと思うが、2003年の108キロのイグナショフ”スピード”も速さでは相当なものだったからねえ。
 ローキックに、ほとんどサメドフが吹っ飛んでいる。かぶせるフックもガードの上から相当効きそう。ハリーはガードも高めで、やや慎重か。近距離でちょっと低くなったところに、サメドフのフックが襲うが、ここは当たらず。思えばここが唯一危ない場面だったか。
 詰めてサメドフを下がらせたところで、右のボディストレートが一閃。サメドフは一発で悶絶! ありゃりゃりゃりゃ、ローブローかと思ったら、まともに鳩尾に入ってるよ。VTRで見たら、グラハム戦みたくずばりと入った感じでもなかったんだが、信じられんぐらい破壊力アップしてるね。

 ……このボディで、アリスターへリベンジだっ! オレは期待してるぞ!

 さて、決勝の組み合わせは……。

<ワールドグランプリ準々決勝(1)>

ルスラン・カラエフ
バダ・ハリ


<ワールドグランプリ準々決勝(2)>
アリスター・オーフレイム
エヴェルトン・テイシェイラ

<ワールドグランプリ準々決勝(3)>
ジェロム・レ・バンナ
セーム・シュルト

<ワールドグランプリ準々決勝(4)>
エロール・ジマーマン
レミー・ボンヤスキー


 うん、いいんじゃない? 第三試合以外はみんな見たい。
 シュルトさんがバンナを無傷で完封。よれよれのレミーをフルボッコにして、無傷で勝ち上がる。反対側ではカラエフに手こずり、テイシェイラを叩きのめしたアリスターをスタミナ切れさせボディで辛勝するも、自分もぼろぼろになってしまったバダ・ハリが上がって来る。誰もがシュルトさん優勝の諦めムードの中、最初のラッシュを仕掛けたハリがまさかの秒殺勝利!
 ……というシナリオに果たしてなるかなあ……。


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