落日の王者

 今日になっても、まだブアカーオの惨敗の衝撃が覚めやらない。
 徴候はあった。昨年の魔裟斗戦での敗戦。それ以降もすっきりしない判定勝利の連続。囁かれるオーバーワークと、それと裏腹な試合中のモチベーション低下。判定基準を読み違え、迷走するスタイル。克服されない弱点。
 それら全てを割り引いても強豪であるはずの選手だったが、積み重なったマイナス要素は、一夜にしてダムを決壊させた。

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 試合は終わった。全てはもうすんだことだ。
 これから、専門誌も含めてあらゆる媒体が「ブアカーオは終わった」と書き立てる事だろう。ムエタイ選手のピークは早い。もう25歳を過ぎたブアカーオは、壊れてしまったのかもしれない。
 これからどうするか……もちろん、試合で再び証明するしかない。終わっていないのなら、新たな進化した姿を見せるしかない。
 一夜明け、早くもタイ人枠の入れ替えが谷川Pより示唆された。ヨーセングライの例を引くまでもなく、ムエタイ枠はブアカーオのみ。それ以外の強豪タイ人が参戦してくることはなかった。コアなファンはこれに対する不満を並べたし、私もその一人だ。だが、ブアカーオにして見れば、ある意味好都合ではなかったか? 本国のより強力なムエタイ戦士と凌ぎを削る必要もなく、タイ人代表として「プロテクト」されるのだから。2度優勝の実績はある。だが、今回の惨敗は、その貯金さえ吐き出しかねないものだ。
 次の試合……そして新たなるムエタイ戦士の登場……ブアカーオに、新たな試練が降り掛かるのは間違いない。来年早々にハードな試合が組まれ、結果次第でベスト16も剥奪される……大いにあり得る話だ。
 不公平だ、あの選手はもっとプロテクトされているのに……たしかにそうだろう。だが、我々ファンがそうさえずるのはともかく、ファイターがそんなことを言ってごねたところでしようがない。失ったものは、再び拳で勝ち取るしかない。ブアカーオも例外ではない。ヨーセングライを叩き伏せろ、佐藤をもう一度ねじ伏せろ、魔裟斗を完封しろ、サワーをぶっ潰せ……そうすれば全てが自ずと帰ってくる。

 全ての選手に、いずれ終わりはくる。ブアカーオのそれが昨日なのか、来年か、それともずっと先になるのか……。見守っていきたい。

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