2009/4/21 K-1WORLDMAX 世界トーナメントFINAL16 試合感想

 ああ……もう日本トーナメントから二ヶ月経ったのか……早いな……。
 この間、コヒさんが欠場。チビン戦が激しくどうでもよかっただけに、これは歓迎だった。さて、それを受けてどう転んだか?

 人気blogランキング参加しています。
 よろしければ御協力下さい。

▼第2試合 世界トーナメントFINAL16 3分3R延長1R

アルトゥール・キシェンコウクライナ/キャプテンオデッサ)70.0kg

VS
アルビアール・リマカーボヴェルデ共和国/チームスーパープロ ビーストオブザイースト)70.0kg

 リマってゴリラみたいにごついよな……と思ってたんだが、そうでもない。意外に目立たない……キシェンコとそんな変わらないし……って、ちょっと待て!? 違う! キシェンコがごつい! いやあ、改めて2006年のシムソン戦19歳時とか観たら、あまりの違いにぎょっとなるよ。3年かけてここまで改造してきたか……。
 とはいえパワーではリマも負けていな……負けてい……負けてる! ワンツースリーと強引にねじ込まれ、あっさりダウン! その後も返してるのにキシェンコは全然応えてない! ガードの上から構わず叩き付け、空いたところにショートでねじ込む。リマはさらに立て続けにスタンディングダウンを取られ、あえなくストップ。

 つ、つええ〜。前日計量後、体調不良を囁かれていただけに心配していたんだが、そんなものはどこ吹く風。撮影中に控え室に一人だけ引き上げたのは、「ウンコをしたくなっただけだ」と(そうは言ってないけどそういう意味だろう)、イケメンにあるまじき発言(言ってません)。ワイルドさも醸し出しつつあるキシェンコに、もはや敵はいないのか?


▼第3試合 世界トーナメントFINAL16 3分3R延長1R

山本優弥全日本キックボクシング連盟/青春塾/2009年日本準優勝)69.8kg

VS
イム・チビン(韓国/KHANジム/2009年アジア王者) 69.9kg

 激しく全日本キックのかほりがする好カード(場所が場所なら……)。
 TAT戦でもかなりボディを打たれてた山本だが、チビンもミドル、ヒザと集中砲火。クリンチワークも駆使してくる。あの前腕を引っ掛けるような組み方、きつい時のブアカーオも時々使うが、あれだとなかなかブレイクがかからんのだよな。あの体勢からヒザを突き上げ、離れ際のフック。手数でも勝り、山本はコントロールされる。
 ただ、ちょっと狙いがはっきりしすぎて単調だったか? 山本の起死回生のバックブロー直撃! ほとんどヒジじゃねえの?という当たりだったのが疑問だが、これでダウンしたチビン。その後も猛追するが、この一発に泣いた。実力が拮抗した好試合で、山本は押されてても集中力を切らさなかったのが勝因か。


▼第5試合 世界トーナメントFINAL16 3分3R延長1R

ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムックジム/2004&2006年世界王者)69.3kg

VS
アンドレ・ジダ(ブラジル/ユニバーシダデ ダ ルタ)70.0kg

 ブアカーオはちょっと軽めで調整してくるようになったかな? ジャブからミドル……あ、ジダが結構キャッチ上手い。あまりラッシュではなく、コンパクトに、それでも大きく振ってくるジダ。左フックをスウェーしてかわすブア……あれっ!? 当たってるよ! スウェーした位置よりわずかだが伸びて来たフックが、綺麗に顎にヒット! あらららら、距離間違えたか? ポーカーフェイスで立ち上がるブアカーオだが、さらにジダはフック、アッパーと突き上げる。距離を取って蹴りが……出ない! さらに何発も顎にヒット! わ〜、ダメだダメだ〜! やられる! しかし、フラフラしながらも倒れないブアカーオ、ほぼ酔拳のようだ(笑)。
 2ラウンド以降、執拗なボディ打ちに切り替え、ヒザとボディストレートを連続でヒット。ボディ打ちの際はガードを下げるので心配になるが、なぜか当たらなくなる。慎重になったのが災いしたか、ジダは見る見るうちに失速。ブアカーオは余裕を取り戻したか、ペースを変えずに攻め続け、延長もそのまま制した。
 うーん、勝ったはいいが、最初のダウンは以前ならもらわなかったパンチだろうし、盛り返して見せたタフネスとスタミナは凄かったが、どこか淡々として見えた。まあ半分意識が飛んでいたのかもしれないが……。


▼第4試合 世界トーナメントFINAL16 3分3R延長1R
アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ/2002年世界王者)69.5kg
VS
長島☆自演乙☆雄一郎(魁塾/2009年日本ベスト4)70.0kg

 自演乙って……撫で肩だよね……。向き合うと、ほんとに外国人の格闘家にオタク青年が挑むような構図。そんだけの体格差。腕回りの違いを見たら悲しくなる。
 おなじみ、飛び込んでの縦拳、さらに周囲を飛び回る長島。しかしクラウスは入り際の中間距離になった瞬間を見逃さず、カウンター気味の右ストレート、さらに左フックを合わせる。長島は左フックが見えてない。ジャブから飛び込んで零距離になった一瞬、左右のフックで長島はダウン!
 うーむ、これがボクテクの違いか。長島は至近距離でのパンチがなく、この距離で打てる相手との対戦経験もなかったのが災いした。さらに一発の威力の違い……HAYATO相手ならば相打ちでも負けなかったものが……。
 立ち上がったところにワンツースリーフォーと叩き込まれ、顔から落ちる危ない倒れ方。入場以外、何一つ勝つ要素がなかった……。


▼第7試合 世界トーナメントFINAL16 3分3R延長1R

アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング オランダ/2005&2007年世界王者)69.9kg

VS
リーロイ・ケスナー(オランダ/チーム アーツ/アファファ/2009年ヨーロッパ王者)69.1kg

 んん〜、ちょっと今日のサワーは切れがなかったか? 押し込んでくるケスナーに右を合わせてダウンを取ったり、技術的には完全に勝ってたんだが、多彩に出てる技がつながってないというか……。ローも少ないし、反則気味のヒザももっとえげつなく使うのが普通だろう。コンビネーションが有機的に出ていない感じ。正直、開幕戦ということでやや舐めていたのかもしれないし、実際にそれでも勝ったわけだが、少々不安を残すスタートであった。
 ケスナーはまだ身体が出来上がってないなあ。悪くはないと思うが、ちょっとまだ保留かな。


▼第6試合 エキシビジョンマッチ K-1ルール 3分1R ※ヘッドギアなし、すねあて有り
魔裟斗(シルバーウルフ/2003・2008年世界王者)

VS
HIROYA(フリー)

 魔裟斗のノーガードという、世にも珍しいものが見られたので、まあいいか。こういう半ガチというか、HIROYAの方はほぼ本気というシチュエーションは、実際ガチンコとしても見せ物としても面白くないよな。無論、倒し合いなんて出来るわけがないんだから、エキシならエキシでもうちょっと考えるべき。打ち合わせしてお互い技を見せ合う、試合ではなかなか出せない派手な技を出す、なんてのがエキシビジョンの本分だと思うし……。


▼第1試合 世界トーナメントFINAL16 3分3R延長1R

ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア/サトリ・グラディエートリイウム・ネメシス)69.6kg

VS

ジャバル“チンギスハン”アスケロフ(ロシア/WMC キャンプ ラマイ)69.8kg

 ほえ〜、これがペトロシャンか〜。動画で見たよりもでかく見えるな……。
 実に無駄のない動きだ……洗練、という言葉がぴったり来る。ストレートからローキックへのつなぎのスムーズさが美しい。アスケロフは間合いに入れず削られて行く感じ。
 3ラウンド、おもむろに前に出るとテンカオの一撃。うむむむむ、まったく底を見せずに終わらせてしまった。これは次戦が楽しみだ。


▼メインイベント(第9試合)世界トーナメントFINAL16 3分3R延長1R
佐藤嘉洋フルキャスト/名古屋JKファクトリー/2008年世界ベスト4)70.0kg

VS

ドラゴ(アルメニア/ショータイム)70.0kg

 ついにメインイベントに登場した佐藤が、ドラゴと対戦。MAXの頂点へ立つべく、新たな挑戦が始まる。
 こつこつとローを当てる佐藤。しかしこれは……あれだな、やや下がりながら、距離を調整しながらの安全策だな。ゴリアエフ戦もそうだったが、勝ちたい時の戦法。ドラゴも蹴りは得意なだけに、ミドルも蹴られる距離で相対。フックも狙う。が、ここは佐藤の間合い。ローキックが着実にヒット。まだドラゴは効いた様子も見せず、中間距離で打ち合う。
 放送は3ラウンドへ……(笑)。この時点で延長へ行くことはほぼわかってしまった。相変わらずいい感じにローは当たってるんだが……止まらない……。拳一個分空いてた距離が詰まってて、ドラゴのフックが幾度か当たる。佐藤はローと顔面への膝……。ドラゴがいつもの独特の軌道でのパンチを伸ばしてくるので、カウンターの膝が届かない。ただ、踏み込んでのボディへの膝もないし、フックも振らない。確実に当たるローで勝とうと言う安全策か。
 そして延長。佐藤はここまでローのポイントがまったく与えられていないのは痛いが、もうかなり蹴っている。この延長で今度こそ効かせる場面を作るか、仮にイーブンの内容で行かれてしまっても、本戦でやや有利な部分を加味して判定勝利、メインイベンターとしては物足りないと批判されるだろうが、とりあえず勝ちは固い……と思ったのだ、ここまでは。
 ドラゴはコンビネーションで先手、佐藤はローを返し……返さない。ドラゴがボディ打ちからミドル、さらに顔面へのフックを狙う。佐藤はパンチを返して……パンチ? 執拗にボディを打つドラゴ、佐藤は……後退! え? スタミナ切れ!? マジで!? 完全に口が開いてヨロヨロ、抑えられて力なく頭を下げる佐藤。ロープ際まで下がらされ、ボディとバックスピンを被弾。さらにフック連打が顔面を捉える! いや〜、もうKOされるんじゃないかと思った。なんとか蹴り返したローも、行けると思ったであろうドラゴにはもはや通じない。
 棒立ちになったまま試合終了のゴング……。
 判定は、当然ドラゴ。

 いやあ……終わった……。こないだの青木と同じで、ビッグマウスで盛り上げたのはいいが、それを完璧に裏切る負け方で見事に叩き落とされた。「本物の戦いを見せる」「倒しに行く」……全てが虚しく響く。
 ……これが器なのか。MAXを背負うなどと、柄でもない自意識過剰なことを言い出した頃から、他ならぬ佐藤こそが「魔裟斗教」に飲まれていたのではないか。立場としては「アンチ魔裟斗」だが、信者もアンチも、目を逸らすことができないという意味で、意識はそう変わらないのだ。メインに相応しい試合をしたい、判定に委ねないなどと言って打ち合いに色気を見せながら、それでもただ勝つためにローキックを蹴り続ける選択をした……本人は矛盾がないつもりなのだろう。しかし、横から見たらもう軸がぶれまくっているのだ。
 別にがっかりなどしない。これが佐藤嘉洋なのだ。カラコダにも、クラウスにも、サワーにも、キシェンコにも、同じように押されて負けるいつもの佐藤なのだ。ザンビに、ディレッキーに、ブアカーオに勝ち、魔裟斗からはダウンを取った。しかしベスト8級からは勝率四割以下。まだそんな程度なんだ。
 これからまた這い上がるしかない。リザーブの相手は城戸か? ジダか? 今度こそ叩きのめせ。打ち合って潰せ。失ったものは、試合で取り戻すしかない。シュルトさんと首相撲でエキシビジョンとか、青木がやるようなお笑い企画を出してもらえるほど可愛がられてるわけでもないしなあ(笑)。

 人気blogランキング参加しています。
 よろしければ御協力下さい。