読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

”私の名は。”『バイオハザード:ザ・ファイナル』(ネタバレ)


映画『バイオハザード: ザ・ファイナル』日本版予告編2

 シリーズ、ついに完結!

 ウェスカーの罠だったホワイトハウス決戦を生き延びたアリス。彼女の前にレッドクイーンが現れ、48時間以内に人類最後の居留地が殲滅されると伝えられる。阻止するためには、アリスがハイブにやってくること……。再びラクーンシティに向かったアリスの前には、いくつもの再会が待ち受けていた……。

 2002年の第一作から14年、とうとうこのシリーズも終わります。邦題で勝手に「ファイナル」とつけられているのでは、と疑いましたが、ちゃんと原題も「FINAL CHAPTER」となってました。
 で、今回、たぶん初めて明言されたけれど、作中でも第一作のアリスの目覚めから10年が経過していることが判明。

「目覚めてから、もう10年もこんなことばかり続けている……」

 と、戦いに飽いたように語るアリス。恋人も家族もなく、運命に翻弄され戦いに明け暮れる日々……。その戦いにもついに終わりがくる日がやってきた。明かされるアリスの正体、そして過去……!

chateaudif.hatenadiary.com
chateaudif.hatenadiary.com

 冒頭で、アンブレラの創設者の一人マーカス博士と、老化が急速に進行する奇病をわずらった娘のアリシアこそが、Tウイルスのすべての発端であると語られる。マーカス博士はアンブレラ社と対立して消され、アリシアのその後は不明……ということだが、ハイブの地下深くに冷凍睡眠されたアンブレラ社首脳陣と一部富裕層と共に、老いながらもまだ生存していた。
 その幼少時の姿をコピーして作られた人工知能がレッドクイーンである、ということも語られるのだが、このレッドクイーン役は監督とミラの娘エヴァ・アンダーソンが演じているのね。

 思えば三作目から、アリスのクローンが大量に登場して画面上におけるミラ様占有率はどんどん上がっていき、これは双子、タイムトラベル、クローンなどで二役に命賭けてるジャン・クロード・ヴァン・ダムをもすでに超えてるな……と思っていたのだが、今作ではまさにそれを決定づける一打を放つ。
 アンブレラ創設者の娘アリシアの、病気という因子を排除したクローンこそがアリスだったのだっ! すなわちアリシア・マーカス=レッドクイーン=アリスということで、主要登場人物、キーパーソンのほとんどが同一人物であることが明らかに。クライマックスで対面している三人が、実は全員ミラ様であるという驚異の占有率。どこを切ってもミラ、ミラ、ミラ……なんというエゴ、なんという夫婦愛、なんという私物化っぷり。その強烈な主張には圧倒される思いである。
 四作目ではアリスがオリジナルだ、みたいなことをウェスカーが言っていたので、多分これ、早くても前作ぐらいの時点で出来た後付け設定なんだろうな……と思う。シリーズのラストでどんでん返しを演出するための……。先日、ひさびさに第一作を見直したが、この頃はマジに非人間的美貌のミラ様だけど、大きな矛盾こそないがこのラストにつながる伏線は見えなかったぜ。

 ただ、このところ定番になった冒頭の「My name is Alice」が、もう一回発せられた時に以前とはまったく違う意味合いを伴って聞こえる、というラストは非常に美しい。本編は終わったが、全てが収束したわけではなく戦いはまだ続くだろう、と示唆される。だが、「昨日」を手に入れたことで「今日」生きる実感を手に入れ、自己を回復したアリスのもはや「明日」を恐れなくなった姿からは微塵も絶望は感じられず、生きていくことへの希望が満ち溢れていて、それがある限り彼女は決して負けないだろうと思わせる。

 嫁LOVE映画なのは間違いないが、監督の分身的キャラクターは一切登場せず、恋愛要素は欠片もなし。ただひたすらにミラ様を格好良く撮ることに注力しているし、今作はストーリー的にも、アリスという女性のアイデンティティの回復と確立が描かれる。妻が好きな俺が好き、なんじゃなくて、ポール・WS・アンダーソンは本当に一人の女性としてのミラのことが好きなんだなあ……という気がして胸が熱くなるんである。子供ももちろん好きで、おばあさんになっても好きだよ……という……。
 思えば恋愛関係から始まって、四作目の頃に結婚、一人目の子供と共演し、二人目の子供が生まれた時点で完結という、二人の歩みを語るに欠かせないシリーズになった。人生の充実した時期に好きな人と物作りに取り組めたということは大変素晴らしいし、出来は確かにたかがしれているかもしれないが、女優のアナルレイプシーンを合意なしで撮ったベルトルッチなんかより、遥かに人間として上等じゃないですかね。

 映画の中身は、得意の空撮や、今回採用したロケ撮影はなかなかいい雰囲気で、相変わらずのゲームっぽいステージクリア展開もらしくて良いのだが、アクション編集が細切れで全然ダメで、クライマックスも「え? ガイ・リッチーのホームズ?」「え? ロボコップ?」とパクってるのかオマージュなのか苦しい展開が続き、こりゃあつらい!
 才能の枯渇っぷりが甚だしく、息も絶え絶えで、もはや何の引き出しも残っていない。それでもミラ様LOVEだけを胸に、這うようにラストに進んでいく監督の姿に号泣ですよ! 頑張れ! あとちょっとでゴールだ! 最後は監督に肩を貸して夫婦ゴールインを決めるミラ様、笑顔で迎える娘ちゃん……!

「おめでとう」
「おめでとう」
「めでたいなあ」
「おめでとうさん」

 妻に、ありがとう
 バイオに、さようなら
 そして、全てのPWSAファンに
 おめでとう

 何にせよ『X-MEN アポカリプス』などと同じく、とりあえず「終わった」ということが感慨深いラストでありました。今後もなぜかテレビでしつこく放送され続けてほしいな!