"あなたとわたしの胸の内"『ポーとミーのチャチャ』
大阪アジアン映画祭2013、十本目!
外見も身長も成績も同じ、17歳の双子のポーとミー。学校では誰も見分けがつかない……と思われていたが、ある日、妹のミーに彼氏が出来た! 一方、これを機に個人として尊重されるようになりたい、と密かに考えていた姉のポーだが……。
この春に行きまくった映画祭において、ABC(テレビ)賞を受賞したため、地上派放映されることになった映画。
双子それぞれの自立を描いたお話。妹のミーの方に、イケメンで優等生だが言論部の癖に口べたな彼氏ができ、姉のポーは初めて二人の間のずれを意識する。性格や、お互いに対する感じ方のちょっとした違いが、高校生という自我が完成しつつある時期に見えてきて、その多感さ故に大きな違いのように認識してしまう。
さらにそのポーも、たまたま怪我をした男子高校生を助けたことで恋に落ちるのだが、ここで双子ならではの取り違えというトラブルが起きてしまう。ミーの彼氏のヨーグルト(あだ名か?)は、ポーとミーの区別がつけられる。ポーはそれを好ましく思っているのだが、自分の好きになった男はそこらへんが全然わからない。ちょうど、自分で違いにこだわりだした時期だったので、それがなおさら気になり、ついついポーは自分が双子の片割れであることを黙っていてしまう。そして勘違いはエスカレートし……。
男共のアプローチの方法が、茶やメロンパンの差し入れ、という、こりゃあいったいいつの時代なんだ!というピュアさだが、非常に繊細な手つきでこの年代の心の機微を描いていて、そこらへんは大いに買う。さらにポーが好きになる男子学生のキャラの、まったくイケメンでもなんでもない上にぬぼーっと馬鹿でかく、家庭環境が無駄に複雑なあたりなども面白い。この大男が、家族は賭場の胴元なんだから、そりゃあ周りも引きますよ。しかしなんだ、この設定……。
後半、今一歩ストーリーが爆発せず、映画的な見せ場には乏しいまま終わったあたりは少し惜しかった。ヤクザとどつき合いになったら面白かったのになあ。無理か。
クロージングの際に賞をもらってた監督は、ちっちゃい女性だったのだが、実は双子で、実体験を元にしてこの映画を作ったという話。えっ、これ全部実話なの? じゃあ多少地味なのはしようがないか……。キャラ設定も現実のままなのね……。で、双子のもう一人は作曲家として参加だそうで……。えっ、じゃあ監督がポーで作曲家がミーなの? で、監督と一緒に舞台上に縦にも横にも馬鹿でかい男性がいて、この人はプロデューサーであるということだったのだが、実は高校時代の同級生でもあるという……えっ、じゃあこの人がもしかしてあのデカブツ!? じゃあ全編のろけ話だったの!? つうか、失恋てものを知らんのかよ! 地味な反面、少女漫画みたいな話でもあったが、よく言われる「リアル」っていったいなに……?と考え込んでしまうエピソードでありました。
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