"極彩色は国際色?"『カラ・キング』

 
 大阪アジアン映画祭三本目!


 ロックコンテストに出演するも、メンバーの誤解によってステージでモロだしパフォーマンスを決めてしまった息子。かつてカラオケ王であったものの、今は田舎に身を潜めて焼豚屋をやっている父。仲違いをし、妹を通じてしか会話のない二人。だが、かつて父のライバルであった歌手が街に現れ、カラオケ自慢たちを圧倒し、挑戦状を叩き付けて来る……。


 昨年の『ナシレマ2.0』で新人賞を受賞したnamewee監督・主演の新作。前作は未見。
 マレーシア映画だが、ン・マンタが主人公(監督)の父親役で出演。まったく顔が似てませんが……。ロックで身を立てたい主人公と、その父親の焼豚屋(実は伝説的歌手)、そして父の元ライバルである歌手の対決を描く。タイトルは街の名前「カラ」の他に「カラオケ」も意味しております。


 明らかに低予算な映画なのだが、音響と派手な色彩感覚で、意外と豪華な映画に見せてくるあたりが上手い。土地柄に合わせて複数の言語がテンポ良く飛び出し、多彩な音楽も合わせて情報量が豊富で、退屈させない。……ということで勢いとセンス、才能は感じたところであるが……随所に入れ込まれたギャグが、変顔やホモネタだけというのは、さすがに浅いわ〜。まあ最初の内は笑えても、段々厳しくなってくる。
 ストーリーはライバルストーリー、父子の闘魂継承、家族の絆の再生と、実に王道。さらにン・マンタが出演ということで、多分、チャウ・シンチー的な笑いが理想なんではないかと思う。が、今一歩、おかしさから格好良さに反転する部分に落差が生まれないのは、父子の現在のシチュエーションの見せ方が甘いせいと、地元でカラオケ対決することの意味付けがないせいであろうか。編集に相当時間をかけたそうだが、もうちょっと脚本も頑張っておいたほうが良かったかもしれない。


 まあ、まだ二作目ということで、また次回頑張ってください……という映画であった。ライバルの歌手の人の歌は良かったね。

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