”ランボーはオレたちが救う!”『リトル・ランボーズ』

リトル・ランボーズ [DVD]

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 DVDで鑑賞。


 教会の規律のもと、テレビや音楽を一切禁じられて育ったウィル。だが、学校で出会った悪童リー・カーターに連れ回され、彼の家で『ランボー』のビデオを見たことで、リーの隠れた趣味、映画作りに関わるように。そのタイトルは『ランボーの息子』だった。


 原題が『ランボーの息子』なんだよね。『僕らのミライへ逆回転』のような正統派リメイク?ではなく、あくまでインスパイアなので、映画『ランボー』にはあまり関係なかった。偶然観たビデオから映画作りに目覚める少年は、ランボーやスタさん自体よりも、むしろ映画という媒体そのものに影響を大きく受けたのだろうな。


 ルックスから何から全然タイプの違う子ども二人が映画を通してつながるのだけれど、その境遇には似たところがある。どちらも父親がおらず、母親からはかたや抑圧、かたや無関心……。堅苦しいまでに縛られたウィルと、放任されたリー。最初はリーがウィルを引っ張って行くのだが、やがて解放のきっかけを得たウィルが逆に映画作りをリードするようになる。
 こうして変わっていく二人の関係が見所で、当初お互いが思っていたものとは違っていても、好きな映画でつながった部分は形を変えて残っていき、友情もまた新たな形へと変わっていく。


 で、それがやがて家族をも動かす……かと思ったのだが、家族自体の描き方は少々おざなりだったかな。ウィルの母親とリーの兄、どちらも変化が少々唐突に感じられたところ。脇だから描写が薄いと言えばそれまでだが、完全なる子どもの目線に徹した、と言うにはウィルたちを三人称的に突き放した感もありで、そこに若干の齟齬が生まれたか。映画作りのシーンなど総じてファンタジックだが、それとリアル(過酷な現実……)のギャップがあまりなく、少々ぬるいと言えばぬるい。まあしかしイギリスの片田舎がそんなハードコアかというとそうでもないだろうし、やんちゃな子供の生活が危険と隣り合わせなこともしっかりと描かれている。
 あの宗教は大変おぞましく感じられましたね。あの通って来る宗派の男がうざすぎる。他人のくせに父親気取り、宗教からの借り物の台詞でえらそうにしゃべくり、自分の家のごとく飯を食う。あ〜気持ち悪い。母親に気があるっぽいあたりがまた嫌らしい。
 「あんたも教会も大っ嫌いだ!」とウィルが叫ぶシーンで、母親も気づいたのだろう。自分も以前からずっとほんとは大っ嫌いだったことに……。子供にそんな価値観を押し付けて我慢することなどなかったということに……。
 抑圧が解放に転ずるのと表裏を一体にして、リーの兄の無関心もまた変わっていく。


 ラストシーンは良かった。ここで家族総出で来てる、という展開もありえたと思うが、やっぱり描写が薄かったし、映画は少年たち二人の物語として帰結する。そう、友達ってのは、目の前で泣いてもいいってことなんだ。でも涙は拭うんだ、男の子だからさ!