"二人から三人に、三人から四人に、四人から……"『宇宙人ポール』
サイモン・ペグ&ニック・フロスト!
アメリカで開催される憧れのコミコンにやってきた、イギリス人イラストレーターのグレアムと作家のクライヴ。キャンピングカーを借りて、アメリカのUFOスポット巡りをしていたところ、本物の宇宙人「ポール」に出会ってしまう。故郷に帰ろうとしているポールと旅をする事になった二人だが……。
観ていてチャウ・シンチーの『ミラクル7号』を思い出した。不気味なはずのものが段々かわいくカッコ良く見えてくる、まさに映画のマジックを堪能したね。ポールの数々のアクションは無論CGなのだが、演出とセス・ローゲンの声によって生き生きとしたキャラクターに仕上がっている。あの履いてるズボンの質感、細さやら脚にへばりついてる感じが気持ち悪い(笑)。
前日の『MIGP』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111223/1324609612)に続いてのサイモン・ペグを観たけど、ボンクラの代表みたいな人のイメージながら、やはりあちらは有能そうな人の演技をしてたんだなあ、と感心。『ホット・ファズ』でも腕利きの役だったしねえ。今作のうらぶれたボンクラ感と来たら半端ないから! 今回もコミコンに来たただのオタク野郎どもの役……と思ったら、二人ともイラストレーターと小説家、というクリエイターの役なんだね。役者としてだけでなく、共同で脚本も執筆する二人が、実際に現地を旅して作ったという今作は、限りなく素に近い二人の関係性や表情が見えてくるように感じられる。形だけバディ物をなぞったのでは絶対に出ないような表現も散見されて新鮮。
主人公二人だけでなく、ポールの存在が色々な価値観を持った人たちに波及していく感じも楽しく、ロードムービーとしての軽妙さも合わせて楽しめる。
『E.T.』をスピルバーグがポールとの電話から着想を得た話、と位置づけ、自らの作品もそのポールとの旅を描いたものとする流れは、これは「『スーパー8』のあいつじゃなく、我々こそスピルバーグの継承者」とする強烈な自負の表れかっ!? とまあ、そこまで大げさなものじゃなく、冗談めかしたリスペクトの表現なのだろう。
SF、宇宙人ものが好きなら絶対に楽しい映画。
リーブル梅田で観たけど満席続きだったようでめでたいなあ。ちなみに某劇場でも遅れてやりますんで……。
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