"その紅は裏切りの色"『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』


 シリーズ第三作!


 アポロ計画の裏に隠された真実……オプティマスたちの飛来より遥か以前、月の裏側に「彼」はいた……。かつてサイバトロン星を脱出した船に乗っていた、オートボットの先代リーダー、センチネル・プライム。彼とその発明が月の裏側で眠りについていることを隠していたアメリカだが、ディセプティコンがそれを狙っている事に気づき、オートボットの出動を要請する。人間に不信感を抱きながらも月に向かうオプティマス。だが、そこには恐るべき罠が仕掛けられていた……!


 今回は完結編ということなのだが、前振りからいきなり壮大! アポロ計画の裏側から始まり、数々のそっくりさん大統領を登場させ、現在のオバマ大統領まで引っ張って来る。オバマに勲章もらって目をむくシャイア・ラブーフ! これはCGだよな……。この前振りの長さが、否が応にも大作感を盛り上げる。もちろんスケールでけえと感じるだけで、『ウォッチメン』や『X-MEN ファーストジェネレーション』のような深みがいっさい感じられないところも素晴らしいね!


 ほんとに毎度おなじみのマイケル・ベイで、マヌケなキャラもくどいギャグも画面作りもアクション演出もほとんどいつも通りなんだが、スケール自体がやたらと大きくなってるので、前作までとはちょっと違う肌触り。『バッドボーイズ』が『アルマゲドン』になった感じですね。まあどっちみちベイなのに変わりはないんだけど。
 中盤のどんでん返しも含めて、割合お話も作り込んである印象で、トランスフォーマーたちの存在意義と対立構造はベタながらうまく描かれてる。三作目ともなると、バカだの中身がねえだのと言って来た話にも段々と血が通ってきて、なんとなくうぜえなあ、と思ってたバンブルビーもやっとかわいく見えて来たし、やっとコンボイじゃなくてオプティマスと呼んでもいい気がしてきた。別れのシーンの切なさよ!
 しかしあの巨大ロケットが出て来た時は、「お、オメガスプリーム? いやスカイリンクス!?」と、思わずもにょってしまったが、全然変形しなかったから残念! なんだったんだありゃ! オートボット側にももうちょい新戦力欲しかったなあ。アニメでも知らん間に新キャラが加わってたりして、「なに勝手に作ってんだよ、恐竜とか合体ロボとか……」という感じが楽しかったのだが。

 市街戦に総力を投入したせいか、その前段となるべき映像はどんどん端折ってたり短めにしてて、中盤までは少々物足りなかったが、最後に期待を裏切らないのはわかってるわけで問題なし。3Dで観ましたが、映像はさすがの迫力です。
 あと、マルコビッチも出てるしケン・チョンも出てるしミーガンは出てないし……。だからなに?ってあんまり関係ないところが、この映画のもったいないとこ。次作はマイケル・ベイは外れるそうですが、彼にはもう充分楽しませてもらったので、他の監督がどう演出するかも観たいですね。スケール抑えてもっとシリアスに振り切った内容も観てみたいし、完全に宇宙に行っちゃってもいいかな。

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