"死ぬまで撃ち続けろ"『トランスフォーマー ロストエイジ』


 シリーズも四作目!


 発明家のケイド・イェーガーは、閉館になった映画館の片隅で、オンボロのトラックを発見。だが、それが政府の追跡から身を隠しているオプティマス・プライムであることに気づく。娘と共に秘密機関KSIに追われる身となったケイドは、オプティマスに救われ、彼と行動を共にするのだが……。


 前作から五年後が舞台……スピのお気に入りから外れたシャイア・ラブーフ他、人間のキャストは総入れ替えとなりました。代わって主演するのはマーク・ウォールバーグ。いやあ、主役的な華はもちろんあるんだけれど、絶妙なまでの押し出しの弱さが幸いし、ラブーフみたいにうざくない! 今回の彼は、マッド・サイエンティストなのに娘を大事にするという、ある意味斬新なキャラクター。話を進めるための科学者設定と、平凡な性格付けの融合ですね。脇のキャラも親世代でなく子の世代になったので、役者のアクも薄まって気楽なことこの上ない。
 代わりにうざいポジションをスティーブ・ジョブズパロディでスタンリー・トゥッチがゲットしたのだが、こちらも脈絡なくうざいのではなく、一応パロディとギャグとして成立しており、なおかつ本物のジョブズの方がきっとうざかろうと思わせるので、OKです!


 結局、一番うざいのはオートボットのデブなので、ベイ風味から随分うざさが薄れ、割と楽に見られるようになっている。しかし、うざければうざいほど面白くなると思い込んでいるマイケル・ベイのことだから、別に意図したことではなく、単にキャスティングやシナリオによる巡り合わせの結果であろう。


 前回の戦いで、オートボットディセプティコンもほぼ壊滅状態で、オートボットも残りメンバーは数人。ディセプティコンは生死を問わず偽Apple社に囲い込まれている状態。まあベイだから観てる間は気にもとめないわけだが、よくよく考えると悲哀溢れる設定ですね。守るべき人間に、一方は捨てられ一方では利用されるばかり。
 されど、自分たちの生を省みるとか、そんなすっとろいことやる前に、まずやるべきことがあるだろー!というのがオプティマス・プライムとオートボットの価値観で、死ぬのは弾を打ち尽くしてからだ、と言わんばかり。荒野を爆走する彼らの姿はある意味、西部劇のシンプルな登場人物たちのようであり、また、モヒカンが乗っていない『マッドマックス』の車のようでもある。
 シリーズも四作目ともなると、多くのものが突っ走ってきた勢いで振り落とされ、残るのはごくごくシンプルな、戦うか死ぬかという宿命しかないのだな。残りわずかとなったトランスフォーマーたちにはそんな悲哀の影がある。


……が、相変わらずメリハリなくドッカンドッカン爆発してる演出のせいで、観てる間はそういった部分を味わってる暇がないし、香港に行ってからはタイアップに必死なせいもあって話が寸断され、せっかく復活したガルバトロンと戦わなかったりする作劇上の問題もあって、盛りだくさんなはずなのに一本調子で面白くないのであった。


 しかしながらアホみたいに金のかかった映像で、人間よりもトランスフォーマーの活躍が見られるのはやはり良いものである。死ぬほどどうでもいいラブーフの恋愛話がなくなったのも大きいし、待望のダイノボット登場にも興奮しましたね。


 もうそろそろベイは充分なんで、次あたり違う監督に交代してくれんかなあ。あと、悲哀云々が味でもあったのですが、本家のアニメ『トランスフォーマー』はそんなことは微塵も感じさせずに緩くて、知らん間にメンバーが勝手に作られて増えてたりしたので、次回作はそんな感じでぜひお願いします。そろそろエアーボットとか出してもいいでしょ! ロディマスにバトンタッチしてもいいしな。

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