"みんな〜、海兵隊ごっこやろうぜ! おまえ、敵の宇宙人な!"『世界侵略:ロサンゼルス決戦』


 震災の余波で延期されましたが、やっと9月公開決まりました。試写で鑑賞。


 先の任務で部下を失ったナンツ軍曹が退役を決意した日……ロサンゼルス、そして世界各地の大都市の海岸に、謎の飛行物体が飛来。それは侵略だった……! 謎の敵の攻撃を迎え撃つために、ナンツの所属する海兵隊も激戦区に投入される。部下が、民間人が、敵の容赦ない殺戮に倒れて行く中、ナンツたちは反撃の糸口を探すのだが……。


 退役を決めてるアーロン・エッカート演ずる軍曹を主軸に話が進むのだが、かなり単純なストーリー。敵は宇宙人だが、ほんとに殺戮目的で攻撃してくるだけで、応戦にいっさいのためらいは不要。かつて部下を失って無力感に囚われてる主人公だが、戦場で再び必要とされることで戦う決意を固める……というお話で、実に単純なヒロイズム。「9.11後」とかイラク戦争とか、もう一切考えなくていいですから!


 宇宙人襲来後はずーっと撃ちっぱなしで、観ながら何一つひっかかりを覚えることも考えることもない。歩兵中心の宇宙人だが、砲台や無人飛行艇も投入し、火力も機動力もタフネスも米軍よりやや上。主人公のいる海兵隊チームはじわじわと追い詰められていく。この宇宙人のアクションが、何か地球の人間にない発想や特色が感じられず、いまいち面白みがない。物量、不死身さの描写は良かったが……。だいたい、せっかくの対宇宙人なのに実弾の打ち合いに終始するというのは、設定に問題があると思う。
 緊迫感も迫力もあるし、ビジュアルもまあカッコいいのだけど、それだけなんだよな〜。


 一応、PG12指定がついてるのだが……どこに? 最大の欠点は、やっぱり味方の海兵隊員の死に様のつまらなさでしょ。ヘリごとドカーンじゃないよ! 相手は人格も慈悲心もない宇宙人ですよ!? 腕を切り落とし、内臓をぶちまけ、首を引っこ抜き、集団で群がって必要以上に蜂の巣にする! それがなんね、このぬるさは! 逆に宇宙人の方が解体されたりして……。これに関しては『スカイライン』の圧勝。


 ミシェル・ロドリゲスへのセクハラも、なんかすっかりいつもの風景って感じですな。こちらも海兵隊員よりやや知的、という普通に女優に割り振られがちな役回りになっていた。もっと荒くれものの役の方がよかったのに。


 うん、全然悪くはなかったし、観てる間はまあ面白かったんだけど、あまりにもシンプルすぎ、なんにもなさすぎ。監督がインタビューで、「戦争映画やSF映画が好き」と言ってたらしいが、その両方を満たせるはずの題材で、現実の戦争を匂わせることもセンス・オブ・ワンダーを感じさせることも一切ないのが逆にすごい。言うなれば「戦闘映画」というところか……。架空の相手にためらいもなく撃ちまくり「オレ達カッコいい!」と海兵隊ごっこやりたいだけの、ゲームみたいな映画でしたな〜。ググってたら「ミリタリー・ポルノ」という評が出てきて、なるほどと思った次第……。
 見終わった後で、


「『スターシップ・トゥルーパーズやっぱり最高! また観てえなあ!」


と叫んでしまう、そんな映画でありました。

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