”小悪魔になるのはむずかしい”『抱きたいカンケイ』
アカデミー賞主演女優賞受賞女優ナタリー・ポートマン主演映画!
大学からの顔なじみのエマに、街でばったり再会したアダム。父が自分の元カノと付き合っているという衝撃の事実の発覚に酔っぱらって前後不覚になった晩、彼女の部屋に転がり込む。しかし、恋に落ちたはずのエマはまるで連絡をくれず、研修医としての仕事も忙しいし、付き合うつもりはない、だいたい自分は愛など信じていないとうそぶく。セックスだけの関係を持ちかけられたアダムはしぶしぶ承知し、呼び出されては10分で飛んで行く関係を始めるのだが……。
バレエのシーンが楽しみだな! このアシュトンなんとかいう奴が噂の鬼コーチ役ですか? ……あれっ、ナタリーが医者になっちゃったよ!? ここからどうやってバレリーナになるのだ?
……まあ冗談はそれぐらいにして、ナタリー・ポートマン主演の恋愛ものです。
あれっ、監督アイヴァン・ライトマンなんだ!? ライトマンとケビン・クラインのコンビと言えば、こりゃあ偽大統領映画『デーヴ』じゃないですか。なつかし〜!
実はアシュトン・カッチャーの主演作観るのは初めてだ(『レインディア・ゲーム』は観てるが……)。wiki見たら同い年だった。嫌味なところがなくて、なんとなく嫌いになれない。でかいわりにマッチョ性が感じられず、弱そう。しかしオタク的、あるいは童貞的な脆弱さもない。頭が良さそうでもないが、かといってインテリ風味でもなく……。うーむ、表現しづらいぜ。いい加減と紙一重の大らかさ、包容力。不思議な存在感だ。これがカリスマ性というものか?
PG-12指定ということだが、ナタリー・ポートマンは下着と半ケツ止まり。ま、こんなもんか。ちょこちょこと見かけた、痩せてて脱いでも痛々しいし、やっぱりマチルダのイメージを引きずってて……という意見は確かにそうなんだが、ガリガリの幼児体型(そこまで言ってません)の女でも別にセックスはするんだし、マチルダ役を引きずって見てるのは、観客側の問題だろう(このロリコンがあ! まあオレもマチルダならロリに転向してもいいと思っているが……)。そういう先入観をどうにか押しのけて観たら……うん、適当にドライそうなところと、ふと見せる影が役にはまってるじゃあないかね。家族と距離を置き、愛を信じない……って設定が……うーん、やっぱりマチルダっぽいか……。これは作り手の問題であるね。
結論、マチルダというキャラクターは底抜けに偉大で、それを生んだベッソンは天才で、かつてそれを演じたナタリー・ポートマンも、それを見た監督、脚本家、そして観客である我々も、永遠にその呪縛からは逃れられないのだ……。
ベッソンはネタがなくなったら、『レオン』の続編で『マチルダ』作るべきだと思うよ。殺し屋になり、いつしか愛を忘れたマチルダが、小さな男の子をうっかり助けてちゃってさ……ってそれは『グロリア』だっつうの。
結局のところ彼女はこの痛々しさが持ち味なのだ。そして、なんか真面目そうな子が無理して小悪魔やろうとしてるんだけどそもそも似合ってねえんだよ! ダメダメ! というところにストーリーも転がって行く。なんだ……キャラがコンセプトにばっちり合致してるじゃないか……。ナタリー主演でこの題材は無理があるんじゃないかと誰もが思ったと思うが、無理があるからこそのパーフェクトなキャスティングだったのだ……。
冒頭の、主人公二人は昔から知り合いだった云々のエピソードが余計に感じられたが、他はまあまあ手堅くまとまった作り。ちょこちょこある小ネタも笑えたし、登場人物多い割に軽妙なテンポを保っているのも良し。脇のキャラクターの人物配置が、いちいち主人公カップルとの対比になっているあたりも基本だが上手い。ケビン・クライン演ずるお父さんの金持ちで人気ありで女にはだらしないとこが、主人公のコンプレックスを微妙にかきたてるのがよくわかるし、すんなりとデキてしまう友達や、若くして結婚してしまう妹なども、タイトル通りの『抱きたいカンケイ』へのアンチテーゼだ。病院の同僚の男もむかつく野郎だが、ああいう風にはっきり言われたことが、主人公にとってかなり重要な意味を持つところも良し。
なんでヒロインが愛のないセックスのみの関係にこだわるのか、という部分がやや弱い、と普通なら思うところだが、そこは『(500)日のサマー』という強烈なのを見せつけられてるし、人生には時にそういう美味しいとこ取りしたい時があるんだよなあ、ということで。対するアシュトン・カッチャーも、本来対比としてはマザコンで、愛やら家庭やらにこだわったりする気持ち悪さが全開になるのかと思うんだが、彼自身のエゴの感じられない存在感がそういうものを発露させない。ぬるいと言えばぬるいんだが、そういうコンセプトの気軽な恋愛ものだから、それでいいんだろう。『サマー』の先鋭的なとこを取っ払って、マイルドに普通の映画にした感じだが、このキャストならではの味もあって悪くない。佳作。
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