"目から鱗の下ネタ大作戦"『GAMER』


 ジェラルド・バトラー主演、ディストピア映画!


 西暦2034年……世界で流行するテレビゲーム「スレイヤー」。それは、死刑囚をナノマシンによって外部からコントロールし戦わせるという殺人ショーだった。30回勝ち残れば解放されると言う条件で戦い続ける死刑囚ケーブルは、残り数回で自由と言うところまでこぎつけ、世間の注目を集めていた。だが、主催者には彼を解放するわけにはいかない理由があり、ケーブル自身にもまた、どうしてもそこから逃れねばならない理由があった……。


 『アバター』や『サロゲート』と違って、生身の人間が人格を奪われて「代理」に従事してるっていう設定が面白い。ある種の「万民の歪んだ夢」にとどまらず、リアルな搾取の構造を投影したこの設定は、『デイブレイカー』冒頭と同じく、現況の社会への批判にもつながっているわけだ。
 非実在非実在と叩かれがちなゲームだが、実際に生身の人間を使う事で「リアル」にするという、ぞっとするようなアンチテーゼ。


 冒頭から続く、主人公が操作される「ゲーム」の映像は、あまり面白くない。いや迫力はあるのだが、文字通り大モニターに映ってる他人がプレイしているゲーム映像を見ているのに近いテイスト。ここは、主人公がやられちゃわないかハラハラしながら見守っている観客の感じ方にシンクロした。ただ映画というのは、主人公になりきって体験したいんだよねえ……。勝手に動かされている主人公のやるせなさの表現だとしても、ちょっと物足りない。


 しかし、最終ステージ。男子高校生のコントロールから離れ、主人公が自ら動き出した瞬間、突然躍動感が生まれる。絵作りはその後のチェイスも含め、ガチャガチャしたままでそんなに変わらないんだけど、このシーンのジェラルド・バトラーが、ゲーム風に言うなら「俺のターン!」と言わんばかりの気迫に満ちてるんだよね。水を得た魚、人間としての尊厳の回復だ。

 ゲーム開始前、内通者に脱出に何が必要か聞かれ、酒を要求するバトラー。ステージ開始直前、隠し持ってたそのウォッカを一本まるごと一気飲み! そのままへべれけになって戦場へ! プレイから離れながらも観るだけは観てた男子高校生も絶叫! 「ちょ、おまwwww」
 泥酔状態でゲームに突入し、いったいどう切り抜けるのか、と思ったのだが……ここでまさかの下ネタが炸裂! えええええええええ、今年観た映画の中で、もしかしたら一番驚いたかもしれん! これは目から鱗だ……こんな方法があったのか……いや、そもそも実際使えるんですか!?
 ここのシーンのバトラーの晴れ晴れとした表情も素晴らしい。こういう豪快さが似合う役者だ。


 しかし「子持ちししゃもといっしょ」さん(http://d.hatena.ne.jp/itotto/20101205/1291534973)がやたらとおっぱいに反応していたのでそっちが気になっていたが、それよりも下ネタに反応してしまったオレっていったい……orz


 おっぱいがいっぱい、下ネタ、テレビゲームと、これこそ中学生のための映画なのだが、残念ながらR-15指定である。しかし、いくつになっても中学生マインドを忘れない諸君は、ぜひ観に行ってくれたまえ!

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