『ドラッケンフェルズ』ジャック・ヨーヴィル
- 作者: ジャックヨーヴィル,クリステルスヴェーン,待兼音二郎,崎浜かおる,渡部夢霧
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2007/09/29
- メディア: 文庫
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1000年以上に渡って君臨する邪悪なる魔法使い、ドラッケンフェルズ。世界中に恐怖をまき散らしてきた存在を倒そうとする公太子オスヴァルトだが、ドラッケンフェルズの威光を怖れた帝国は軍を動かさず、ごくわずかな仲間たちと共に魔法使いの城へと挑むことを余儀なくされる。盗賊王、暗殺者、邪術使い、学者、ドワーフの戦士たち、賞金稼ぎ……その冒険行に加わった者の中に、彼女もいた。少女の姿でありながら齢638歳の吸血鬼、ジュヌヴィエーヴ・デュドネ。
そして、熾烈な戦いが終わり、25年の歳月が流れた……。
実は読んでないよ〜『ドラキュラ紀元』! 何やってんだ、あんな名作を……という感じですが、まあ巡り合わせというのはあるもので。
マイミクさんの日記で、そのニューマンが別名でこういう作品を書いていたことを知り、ふん、じゃあこっちをまず読んでみようじゃないか、と買ってみた。読み終わって後書きを見たらば、なんだ、書かれたのもこっちが先ではないですか。てっきりスピンオフかと思っていたよ。
そう、これも巡り合わせ。今まで有名な『ドラキュラ紀元』を読んでなかったのは、ちゃんと時系列順に読もうね、ということだったのだね。
テーブルトークRPG『ウォーハンマー・ノベル』の世界を舞台に……って、オリジナルじゃないのかYO! う〜む、オレも昔はTRPGのキャラ作って色々なお話を夢想したものだが、それをまさに実現した作品か?と思ったのだが……。
まるでゲームの筋をそのまま小説化したような上記のあらすじだが、実はこの部分はほんのさわりにすぎず、本編は25年の月日が流れてからなのである。単にゲーム的な筋をなぞるのではなく、きっちり換骨奪胎して小説らしいストーリーに仕上げてみせたのが素晴らしい。作者の多才ぶりを感じさせる。噂に聞く『ドラキュラ紀元』の百花繚乱ぶりの萌芽は、ここからすでにあったのだなあ。
もちろん、剣と魔法と吸血鬼の出てくるファンタジー話を、ラノベレベルじゃなく書ける作家が大真面目に書いたらこうなる……という、古川日出男の『アラビアの夜の種族』的な至福も味わえる。
この『ドラッケンフェルズ』は続編がさらに2冊書かれ、その3作目に先んじて『ドラキュラ紀元』が出版、という流れ。主人公であるジュヌヴィエーヴは、どっちのシリーズにも登場……。処女長編のヒロインで、本文書き出しも「ジュヌヴィエーヴ・デュドネは、」から始まる。
大理石を砕く殺人パンチの持ち主で、戦闘時には凶悪に変身! 見た目は16歳の美少女なんだが、その実年齢にふさわしくあらゆることを「経験」している。血は吸うけれど、貧血になっちゃうかな?という程度で充分という奥ゆかしさ。刹那的に生きてるように見えて、意外に情が深い性格で……。なんだこりゃあ、萌えポイント詰まり過ぎだろ!
不死と言う設定から狂言回し的役割を負わされたキャラでもあるのだが、こう延々と登場し続けるとこからして、作者はどんだけジュヌヴィエーヴ好きなんだYO! どうも偏愛ぶりが普通ではなさそうだ。今後、この辺りにも期待だな……。
メモ書き
『ドラッケンフェルズ』シリーズ ジャック・ヨーヴィル名義
『ドラッケンフェルズ』
『ベルベットビースト』
『吸血鬼ジュヌヴィエーヴ』
『シルバーネイル』 短編集
『ドラキュラ』シリーズ キム・ニューマン名義
『ドラキュラ紀元』
『ドラキュラ戦記』
『ドラキュラ崩御』
ちなみに『ドラキュラ崩御』は古書価格が高騰してるYO! 3500円ってなに……?
- 作者: キムニューマン,Kim Newman,梶元靖子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1995/06
- メディア: 文庫
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