”オレはギリシャの神様の子供、神の子”『ザ・ヘラクレス』
レニー・ハーリン最新作!
侵略と圧政を繰り返すアンピトリュオン王には、二人の息子がいた。だが、弟は実は彼の子ではなく、彼をいつか滅ぼすために遣わされた、ゼウスの子種によって生まれた者、ヘラクレスであった。その運命を知らずに成長したヘラクレスは、隣国の王女ヘベと恋に落ち、幸せな日々を送っていたのだが……。
すぐ後にロック様の『ヘラクレス』も公開が控えている中、今作が公開。ジョン・シナ主演作『12ラウンド』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110121/1295593447)を撮ったレニー・ハーリンだけに、彼にロック様版を撮って欲しかったような気がする。今作の方がなぜかシングルマッチ、タッグマッチ、1vs6と試合が展開されて、微妙にプロレスっぽいのが気になったところ。
今作の主演は若い兄ちゃんなので、恋愛ものになっている。肌の色が白くないのでわからなかったが、『トワイライト』のマッチョ吸血鬼ではないの。隣国の姫との恋……しかし出来過ぎの弟にジェラシーを抱く兄貴から横槍が……。
暴君スコット・アドキンスの侵略圧政の世を終わらせるために、王妃がヘラに祈り、ヘラがそれを聞き届け泣く泣くゼウスの子種を与える、という展開から、主人公ヘラクレスが生まれる。そして二十年……。
うーむ、圧政がその間に二十年も続いてしまったし、えらく迂遠な方法だな。アドキンスは当然二十歳歳を取ったわけだが、まあそんなに老けていない。しかし老けてないから動きがキレキレ!というのは、最後のアクションの相手を務めないといかんからいいんだけど、結果として貫禄もなさすぎで、ストーリー上も凄い小物臭が漂っている。なぜかようなキャラになってしまうのか。確かにぴょんぴょん飛び回る人には、貫禄を感じないわけだが……。
今作は超自然的要素をきっちり「あり」として描いており、主人公は事実としてゼウスの息子である(なんでわざわざこういうことを書くかというと、そうでない映画が後からくるので)。ただ、ヒドラを倒したとか、天を一人で支えたとかいう有名エピソードは描かれず、それ以前の王になるならないの時代のお話。序盤こそやや強い普通の男なのだが、闘技場で6対1で圧勝するあたりから怪しくなり、ゼウスの存在を信じることで、ついに超自然的力が覚醒する。鎖の縛を固定してる柱をへし折って脱出し、剣に落ちた雷を振るって敵を蹴散らし……ギガブレイクですね。でもアドキンスとの最終決戦では、普通の人に戻って戦っていたな……。
まあまあ面白かったが、オチが非常に取ってつけたようで、後々のヘラクレスの冒険にこれではつながらんではないか、ということになっていた。まあ作り手的には、映画が終わればどうでも良かったのだろう……。
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