『夜のジンファンデル』篠田節子

夜のジンファンデル

夜のジンファンデル

 ホラー短編集。


 オカルト要素ありでもなしでも、篠田節子の書く恐怖小説は、必ずそれらが現実の生活、社会的地位や家庭、経済力とリンクしている。ある現象によって、それらが崩壊し人生の危機に見舞われるという、実に現実的、即物的な恐怖感。あるいは恐怖の元凶を取り除いても、自らの社会生活に残された爪痕は決して消えない。ある種の「成長譚」に還流されがちな、娯楽としての恐怖小説よりも遥かに重い。
 んん〜、果たして好き好んで、こんな嫌な話を読みたい人がたくさんいるのか、と言うと疑問だが、この迫真感はオススメだ。ちなみに、短編は単に嫌な話で終わるが、長編はなんらかの解放につながることも多い。社会生活はパーだけどそれでも……。


 最後に収録されている『コミュニティ』なんかは、団地に住んでる人は怒っていいぐらいの出来(笑)。現代の『悪魔の収穫祭』だな。

聖域 (集英社文庫)

聖域 (集英社文庫)

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い


人気ブログランキングへご協力お願いします。