『たまさか人形堂物語』津原泰水

たまさか人形堂物語

たまさか人形堂物語

 読み逃してた連作短編。


 OLを辞め、先祖代々伝わる人形屋を継いだ澪。変わり者だが腕の立つ職人二人に恵まれ、なんとかかんとか営業を続けているが、持ち込まれる人形はどこか曰く付きのものばかり。四苦八苦しつつも、奥深い人形の世界に触れて行く澪であったが……。


 薄めの本で、登場人物の年齢を引き下げれば、そのまま少女小説にも転用できそうな内容。が、そこは津原泰水、なめてはいけない。短い中にも底冷えさせるような心理の綾を詰め込み、夢と現の狭間にある人形の世界を描き出す。
 「酔った勢いで語られた」という設定の『最終公演』など、語り口の巧さが異常。冷静に考えるとありえない話なのに、ぐいぐいと引き込まれ、思わず「えっ!」と声を出しかけた。
 小品ながら堪能させてくれた一本。


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