『スケルトン・キー』

 DVDで鑑賞。


 介護士のキャロラインは、アメリカ南部の古い洋館で、脳卒中を起こした男ベンの介護をすることに。その妻であるヴァイオレットの夫に対する態度に不審を感じるキャロラインだが、時折たずねてくる弁護士ルークに訴えても取り合ってもらえない。だが、ある日、ベンが卒中の身体で屋敷を抜け出そうとしたことから、疑惑は膨らんで行く。預けられた合鍵でも、唯一開かなかった扉をこじ開けたキャロラインは、そこに隠されていた不気味な道具を目撃する。それは、かつてこの屋敷に住んでいた黒人夫婦の為した呪術の名残であった。 館には幽霊が住む……街の噂を聞きつけるキャロライン。ベンが怖れているのは妻なのか? それとも幽霊なのか?


 アメリカ南部に根ざす土着の幽霊譚を題材にしたストーリー。その話自体は、現地じゃむしろ陳腐な部類だと思うんだが、脚本にひねりを加えてそこに裏の意味を持たせる事で、限定された舞台と少ない登場人物のこの映画を、奥深いものに仕上げることに成功している。


 いや〜、この粗筋紹介だけの登場人物で、いったいどんなオチを持って来るのかと思ったら、なるほど、こう来ましたか。オチがわかってから観ると、あのシーンもこのシーンも伏線だったんだとわかり、楽しさ倍増。犯人側の目線に立ってみると、途中いろいろと歯痒かったであろうことも想像でき、回りくどいことをせねばならなかったのだな、と笑えてくる。


 相変わらず善人か悪人か区別のつかないピーター・サースガートの個性も素晴らしい。後味の悪さも最高で、特に過去の事件の「真相」を想像すると身の毛もよだつ。楽しめる一本であった。