『ターミネーター4』
試写で鑑賞。
2018年……「審判の日」を迎え、スカイネットにより崩壊した世界。抵抗軍の一員であるジョン・コナーは、たくましく成長し、一部隊を率いるようになっていた。 スカイネットとその配下にあるマシーン群を停止させる周波数を発見した抵抗軍は、総攻撃を計画する。そんな中、ジョンはマーカスという男と出会う。彼は人間の心臓と機械の肉体を持っていた。マーカスは人間なのか? それともマシーンなのか? 彼のもたらした情報で、後に自分の父となるカイル・リースがスカイネットに囚われたことを知ったジョンは、抵抗軍に攻撃中止を呼びかけ、自らはマーカスと共にスカイネットに潜入する。そこで彼を待っていたものとは?
序盤はマーカス視点、さらにジョン・コナー登場、そしてカイルも出てくる、ということで、実に主役が三人!? いささか散漫な印象は否めず。ジョンが指導者としてのカリスマを身につけるに至った経緯や、突然未来世界に出現したマーカスの心情などの描き方もいささか不十分で、どうにも深みに欠ける。せっかくクリスチャン・ベールが撮影中に何十回も「F○CK!」を連発したのに、その熱情の表現が足りないのはもったいないなあ……。
荒廃した世界の描写も、正直『バイオハザード3』と同レベル。悪くはないんだけど、歴史あるシリーズの新展開としては物足りない。一体一体のマシーンの危険性はよく描かれてるが、それが多数徘徊し文字通り地上を「支配」しているという緊迫感、絶望感に欠けるのだ。
団結して戦うべき人類も、身勝手な行動をとる者が多く、決して一枚岩ではない。そんな中、マシーンの肉体と人間の心を持つものが現れて……。「人間とは」「人の心とは何か」みたいなテーマに切り込みたかったのだろうが、それなら人類の一部をもっと悪辣に、もっと非人間的に描き、なおかつ「機械に対抗するには自らも機械となるしかない」というテーゼを盛り込まないと、ジョン・コナーの語る「我々は人間だ、マシーンのように戦っては、たとえ勝っても意味がない」という言葉の重みが何も伝わらない。そのシーンでも、単に人質のカイルが殺されては困るから、もっともらしい大きなことを言って皆を止めようとしているようにしか見えない。
クライマックスにおいて、やや擬人化された感のあるスカイネットも……うーん、これではますます『バイオハザード』なんだが……。
この「スカイネット」ってのもシリーズの黒幕的存在で、実際ターミネーターみたいに撃ち合いやるわけじゃないけど、その背後で全てを操っている最大最後の敵のはずなんだよね。実際、『1』『2』『3』においても、その姿は一度も現れていない。描かないことで膨らむ幻想というのがあるんだから、今後もシリーズを引っ張るつもりなら、あまり安直に登場させてほしくはなかった。
しかしながら「あの人」が登場するお約束にはバカウケ。これは待ってました、という感じでしたな。ただ、ラストバトルのシークエンスにおいても、「アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー」や「補助電源起動」が使えそうなシーンがあったのにもったいない! なぜ入れなかったんだ!?
最後はそれなりにまとめたか。傑作とはお世辞にも言えないが、あくまで「パート4」として割り切って見たら悪くはないか。でもやっぱりマックGは『チャーリーズ・エンジェル』撮っとけばいいんじゃない……?
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