『永遠のこどもたち』

永遠のこどもたち [DVD]

永遠のこどもたち [DVD]

 かつて孤児だったラウラは、医師である夫と共に、かつて自分のいた孤児院の建物を買い取り、そこで孤児や障害者を受け入れる施設を作る事に。だが、幼い子供シモンと移り住んだその建物で、やがて不可思議な事件が起き始める。そこに誰か……いる?


 短い時間の、主人公の幼少時代のオープニングショットを始めとして、何気なく映し出される全てのシーンに意味がある。各登場人物の行動、細かい台詞の数々、全てが伏線とミスディレクションになっており、後半になればなるほど連鎖的につながってくる。一つ、また一つと解き明かされて行くそれらの意味が、やがて予め提示されていた事件の真相を浮き彫りにする。それら現実を認識した時、主人公の選択した行動。全てが理詰めで解釈可能な解決が訪れた……だが、それでも救いはある。残された者の心の中に。


 いや、傑作。ミステリとしてもホラーとしてもいけるジャンル映画の快作でありながら、通り一遍に留まらない「こども」という存在に対する大人のあり方をも描いている。「こども」という存在の美しさ、愛らしさと同等に、無邪気さを原点とする大人にとっての得体の知れなさ、怪物性をも並立して描き、そんな「こども」を持つ事に対する大人の心理までも克明に描写する。


 『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロが製作ということなのだが、傑作であった『パンラビ』の現実の重さとオカルト要素のバランス感覚は受け継ぎながら、かっちりとしたミステリの構造に仕上げたのは見事の一言。
 『ピーター・パン』を題材にしたストーリーでもあるのだが、最後に子供時代に別れを告げる『ネバーランド』とも対照的なラストが、『ピーター・パン』のテーマ性を損なう事なく成立しているのも素晴らしい。
 そして、ホラー要素を求める不純(笑)な客に対しても、グロいサービス要素がバッチリ! なんせ僕が見ながら真っ先に思い出したのが、『パンラビ』でも『ネバラン』でもなく『十三日の金曜日』の一作目ですから……(笑)。


 年明けからいきなりの大収穫。みんな〜見てくれ〜。