"匣の中の? ウロボロスの?"『スクリーム4』
あのシリーズに10年ぶりの続編!
かつての体験を小説とし、十年ぶりにウッズボローに帰って来たシドニー。だが、その彼女を狙うかのように新たな殺人事件が……。著書のネタに行き詰まっていたゲイルは、夫で保安官になったデューイをせっついて捜査に加わろうとする。だが、警察を嘲笑うかのように、殺人犯は高校生を次々と手にかけ、やがてシドニーの従姉妹のジルにまで迫る……!
かつてシリーズ第一作『スクリーム』を評して、
「”本格ホラー”の要素を孕みながら、それに否定的な要素も備えた”アンチ・ホラー”であり、なおかつメタ・フィクション的な構造を取った”メタ・ホラー”でもある。加えてティーンを主人公に据えた”青春映画”とも言える。
ゆえに、”本格ミステリ”でありながら”アンチ・ミステリ”、”メタ・ミステリ”でありなおかつ”青春小説”でもあった『匣の中の失楽』(著:竹本健治)のハリウッド版であると言える」
と、世迷い言を言ってたのは誰だあ!? オレだああああ! 上記は全てミステリファンの友達からウケを取るための与太であったが、こじつけながらなかなかもっともらしく、今も割と気に入っている。両方知ってる人がなかなかいないので、使う状況が非常に限定されるネタではあるが……。
ネーヴ・キャンベルひさしぶり! 何年も観てなかったが、えらく雰囲気が丸くなってて驚いた。十年経って、あのシドニーも酸いも甘いも噛み分けた大人になった、というのが、設定以上に物腰だけで伝わってくる。キャラクター面でも、蹴りやら巴投げを炸裂させ、平然とナイフを握りしめるあたり、かつての勝気な性格も秘めつつも、どこかで「この日」が来るのをわかって護身術を磨いて準備をしていたかのような、心構えと冷静さを感じさせる。
こりゃあ相当、演技も磨いたな。この役以外にも、お母さん役でも弁護士役でも何でもできそう。
デヴィッド・アークエットとコートニー・コックスは……うん、良くも悪くも変わらんね。
おなじみのホラー映画へのメタ的な言及もありつつ、オチはちょいと飛び道具気味ながら、『スクリーム』シリーズならではの構造をうまく利用したものでもあるよね。
しかし『ソウ』をディスりながら妙に血と内臓は増えていたり、POVを匂わせつつ『パラノーマル』シリーズなどには言及しないあたり、いささかバランス感覚を欠くと言うか、ジャンルへの俯瞰的な視点なしに都合よく取り上げやすいところを取り上げているようにも思える。
90年代に80年代ホラーを批評し再評価する文脈に連なったものが、2010年代に突入してゼロ年代ホラーをもつまみ食いしなければならなくなったあたりの弊害?とか考えたあたりでもうわけがわからなくなってきたので、そこらへんは詳しい人に考察していただきたいものである。作中の『スタブ』は何作も続いているが、『スクリーム』はしばらく止まってたわけで、脱構築に次ぐ脱構築が作中の登場人物はともかくとして、現実の観客に届いているのかもちょっと判断に困る。僕自身、らしい作品を観られて「あ〜久々にスクリームに会えて面白かったなあ」という気持ちこそあるものの、「でもなんで今また?」という心持ちも拭えないのであった。そして、次を作るのはもう相当厳しいような気がするね。なんか今回は、結末からして自分の尻尾も食ってるような内容だったように思うのである。あ、と言うことは『ウロボロスの……』(綺麗にオチたつもり)。
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