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”本当のあなた、本当の私”『私の少女時代』


私の少女時代 予告編

 アジアン映画祭一本目!

 冴えない女子高生のリンの片思いの相手は、学校一の秀才。しかし彼は学校一の美少女と付き合っている? 学校一の不良タイユーに弱みを握られたリンは彼のパシリをさせられていたが、美少女を狙う彼と手を組み、お互いの恋のために協力することに……。

 台湾で大ヒットしたという青春映画。三十代半ばになったヒロインは、社長にこき使われ残業の毎日で、褒賞を独り占めと部下に陰口を叩かれる中間管理職。口やかましい恋人との関係も行き詰まっている。そんな自分にも、輝いていた少女時代があった……。

 ボサボサの頭とメガネがいけてない女子高生、憧れのスターはアンディ・ラウ。学校一番の優等生に憧れているが、彼の側には学園一の美少女が……! さらに、優等生と対立する学校一番の不良に弱みを握られてしまったヒロインはパシリにされてしまう!

 うーん、全然輝いてねえじゃん、黒歴史じゃないの……。またこの不良が勘のいい奴で、嫌な感じに暗黒面を突いてくるあたり、居心地が悪い気持ちにさせられる。そもそも弱みを握られるきっかけが、机に入っていた不幸の手紙を、美少女、不良、嫌な教師にまんべんなく回したせいなので、そのゲスな心持ちをチクチクと突かれると、後悔と恥の二乗というか……。
 が、不良が実は美少女と付き合いたいことが発覚し、優等生と付き合いたいヒロインと利害が一致。協力体制を敷くことに……。

 いやー、もうおわかりですね。そうして協力して試行錯誤してドタドタバタバタしてるうちに、だんだんと本命じゃなくてお互いのことが気になってくるという……! これまた定番だが、ヒロインはダサいメガネ外して髪の毛直せば普通にかわいい! 不良には実は隠された過去があり、ワルぶっているだけで本当は元は優等生だった! 完全に少女漫画の定番設定で、超ベッタベタ!

 しかしベタながらしっかりキャラを立てているし、二人とも演技も冴えている。不良役のワン・ダールーは、序盤は本当に痛いところを突いてきて嫌な奴に見えるのだが、それが実は頭の良さと人の気持ちがわかるがゆえの産物であることが見えてきて好感に転ずる。その彼が自分を偽ってきたがゆえに、ヒロインの向こう見ずさや一生懸命さ、真っ正直さに惹かれていくのがよくわかる。そして、もう一つの偽りゆえに身を引こうとする気持ちも……。
 いやあ、人間というのは、自分のことだけはなかなか見えないのだな……と思いつつも歯がゆい!
 優等生君は普通にいい奴なんだけど、美少女の方は実に中身が薄っぺらく性格も大して良くないと見抜かれていて、顔もまあ欠点がないというだけで実はどうってことないやん、というあたり、作り手のそこはかとない悪意も感じてナイスである。
 不良仲間とか、ヒロインの友達にもちょいちょい美味しいシーンが用意されていたり、学園ものらしく学校との対立もあり。舞台は90年代半ばで、例によって校則の厳しい台湾のバカな生徒指導も登場するよ。そして要所要所で看板やキーホルダーという形で活躍するアンディ・ラウ……スターすぎるだろ……。

 『あの頃、君を追いかけた』は男子目線だが、こちらは女性監督が徹底的に女子目線で描いていて、言わば双璧だな……。
 大人パートは高校生時代と別の役者がやっている。お話はやがて序盤と同じく現代に戻ってくるのだが、ここも付け足し感がなく、まさに完結編として完成されている。あの展開とか、下手すれば茶番感丸出しになりそうなのに、まさに約束と絆の結晶として描かれてるもんな……。
 くすんだ大人時代と少女時代序盤の黒歴史を対比させ、少女時代後半を輝かせたことで大人時代もその頃の勇気と自分らしさを取り戻すという展開も素晴らしいですね。そんな彼女に運命もまた再び微笑むのだ。

chateaudif.hatenadiary.com

 しかし、一念発起して、アンディ・ラウの台湾公演のチケットを取ろうとしたら売り切れ、という展開には笑った。「なんで芸歴30年なのに賞味期限が切れないの!?」と言われるアンディ・ラウだが、この映画祭でも度々言及される存在であったな……。隠れたMVPなのかもしれない。

 全編、キラキラと輝く台湾の青春映画の真骨頂を堪能しましたよ。これは劇場公開も決まってるので、ぜひ観てもらいたいなあ。

三国志 (字幕版)

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