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”パーフェクト・ディフェンダー”『ドラゴン・ブレイド』


ジャッキー・チェン、ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディ共演!映画『ドラゴン・ブレイド』予告編

 ジャッキー・チェン最新作!

 前漢時代、中国はシルクロード。多民族のひしめくこの地域で安定に尽くす西域警備隊の指令フォ・アン。反逆の汚名を着せられた彼は身分を奪われ、辺境の砦の修復の人足とされてしまう。だが、半壊状態の砦にローマ軍の兵士が迫り、フォ・アンも防衛に駆り出され……。

 中国とアメリカの合作で、ジョン・キューザックエイドリアン・ブロディという、ニコラス・ケイジの後継を争ってるかのように最近迷走気味の二大性格俳優がジャッキーと共演! ジョン・キューザックはジャッキーと友情を芽生えさせるローマの将軍。エイドリアン・ブロディはそれを執拗に追う悪の執政官役だ!

 国境の警備につくジャッキーは、部下とともに周辺の部族の調停に当たっている。喧嘩を仲裁するも、長の女と一騎打ちを強いられ、うっかり乳を揉んだ上に勝ってしまったため、彼女の夫にさせられそうになる……という、おなじみの美味しい展開! ジャッキーイズムだ! が、それを断って本来の妻のもとへ帰るジャッキー。これは『ライジング・ドラゴン』で確立されたジャッキーの家庭観の再表明か……?

chateaudif.hatenadiary.com

 陰謀によって地位を追われたジャッキーは、辺境の改修中の砦の人足に駆り出されることに。最初は指揮してる役人にいじめられるのだが、すぐに仕切り屋の才能を発揮し、囚人の人足たちをまとめるように。ここは映画作りにおけるワンマン体質と長年の経験の発揮ですね。

 そこへやってきたのはジョン・キューザック率いるローマ軍の一部隊。実は正規軍ではなく訳ありなんだが、そんなことはつゆ知らずのジャッキー、大将との一騎打ちに! 決着がつく前に、ジョン・キューザックが連れていた子供の体調が悪くなり勝負はお預け。実は彼らは執政官の後継争いから逃れてきた流浪の部隊だったのだ……。

 部隊は行き場がなく、みんな疲労の極みなので立場逆転のはずだが快く受け入れてしまうジャッキー。ジョン・キューザックはローマの最新土木技術で期限の迫った砦修復を申し入れ、皆の心が一つに!
全体的に性善説寄りの話で、そんな簡単なら苦労せんわという気もするが、やっぱり作り手であるジャッキーの妙な熱意だけはヒシヒシと感じられ、実際のところ多国籍キャストで映画作ってる苦労も考えると説得力もないではない。
 そんなこんなで各国の多民族キャストが集結し、ジャッキー映画最大のスケール!……という触れ込みだったが、人馬こそ多いのだが肝心の戦闘は一対一の決闘で済ませてしまうので、もっともスケールでかかったのは、この城の改築シーンだったのはいささか残念。『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールズエンド』で、せっかく大艦隊が集結したのに戦ってるのは二隻だけだったがっかり感に近いな……。
 そんな中、一人だけ仲良くなれない悪役を強いられたエイドリアン・ブロディだが、さすがの熱演で単なる悪人に終わらない複雑な内面を見せ、ともすれば絵に描いたようなキャラで片付けられそうなところを下支えしてみせた。まったくプロの仕事ですよ。

 相変わらずの小技の効いたファイトシーンを連発するジャッキーだが、今回は左手に常時装備した小楯を使った殺陣が見所。最近の『キン肉マン』でシルバーマンが盾を装備したデザインで登場したが、今作のアクションとのシンクロニシティを感じるね。

 大作っぽいルックなのだが、場面転換が早くて地理的広がりが感じられないため、いつものこじんまりしたジャッキー映画のスケール感にとどまったのはもったいないが、まあアベレージ通りではありました。