"って言うか、おまえらのことなんて知らないし!"『グリーン・ランタン』


 試写で鑑賞。


 危険を顧みないテストパイロットのハル・ジョーダン。ある日、勝手な行動を叱責された彼は、失意の内にさまよう中、謎の緑色の光にさらわれる。連れて行かれた海岸で、傷ついた緑色の宇宙人と出会った彼は、緑のリングとランタンを託される。グリーン・ランタン……それは、銀河を守る選ばれた戦士達の名であった。


 アメリカンコミック原作の映画ということで、今作も映画化されるぐらいだから相応に歴史があり、人気も高い作品なのであろう。おそらく設定も練り込まれ、多様なストーリー展開がすでになされた作品なのだと思われる。だが、その「原作準拠」が前提なのかは知らないが、非常に舌足らずな映画であった。
 突然に主人公を巻き込む「ランタン」の人たちが魅力的に描かれていないのが致命的。冒頭からモノローグが続くが、それだけで納得しろと言われてもねえ。


1.主人公にリングを託す人が、なぜ偉くて強かったのか不明
2.分割されて守られてる銀河に地球も含まれてるはずだが、今まではどのように守られていたのかその経緯が不明
3.他のランタンの人たちも今作の敵に歯が立たないので、そもそも強いのか不明


……とまあこんな感じで、こんな人たちの言う事を聞けと言われても無理でしょう……。そうは言っても何だかんだで地球のために敵と戦わなければならなくなるのだが、実はその敵と言うのも、もともとランタンの人たちの上役である「ガーディアン」の一人であることが明らかになる。え? なんなのこの人たち……。内輪もめに地球が巻き込まれるの?
 うーむ。


1.リングを託した人は、偉大なる強さと人格の持ち主であった!
2.地球が今あるのもランタンの人たちのおかげである!
3.数々の宇宙怪獣を倒して来たが、今度の敵は桁違いに強い!


……とまあこれぐらいのことはせめて映像で見せてくれないと、主人公がランタンに加わる意味も希薄になるし、こちらとしても話に入り込めない。……で、結局、最後までこの人達さあ……何にもしないし……。
 逆に、そっち側の描写が足りなくても、主人公に正義の味方願望があるとか、力が欲しい理由があるとか、多少怪しげでも参加しちゃいたい要素があるなら、そちらを描き込んでほしかったが、それも薄いのだよなあ。彼は巻き込まれる形で選ばれるだけなので……。


 わーっ、いちいち面倒くさいこと気にしてやがんなあ! そんなことどうでもいいから、スーパーヒーローの大暴れやビジュアルを楽しんだらいいんじゃないの? ところがそちらも弱い。ランタンは横着にもなんでも自由自在に呼び出せる能力だし、敵怪獣もCG感バリバリの怪物だし、迫力に乏しい。ランタンの星も、地球から見れば宇宙の果てなんだが、気軽に往復し過ぎてスケール感に欠ける。


 全体的に、端折ったダイジェスト版を見せられているような感覚。主人公のダークサイドとなるピーター・サースガートが、いつもながらの気持ち悪さで熱演するところは良かったのだが、これなら彼との攻防をメインにし、ランタン側に最大の危機が迫る展開は次作にでも回した方が良かったのではないか? まず、ランタンとは何か、をきっちり描写しないとその危機にも説得力が出ない。まあ全体の構成としてはその方がいいのだろうが、見せ場に欠けるし、そもそもこれを当てないと続編が作れない、との判断でこう詰め込んでしまったのだろう。


 つまらなかったなあ……と思ってたが、次に『マイティ・ソー』を観たら綺麗さっぱりなかったことに出来たので良かった。ありがとうソー! ただまあ、これから順番通りに観る人は御愁傷様です!

グリーンランタン:リバース

グリーンランタン:リバース

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