「わたし」のバダ・ハリ　2010/5/30 「its showtime」　試合感想その４

　ひさしぶりだな、バダ。調子はどうかな？
　春は災難だったな。余計な騒動に巻き込まれて……あのドアマンめ、ちょっと小突いてやったぐらいで、なあ？

　ん？　やってない？　くっくっく、まあいいさ。お前のファンはもう、誰も気にしてないものな。

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　しかし、あの事件のせいであのベラルーシの男を叩きのめせなかったのは残念だった。前に出る気もないくせに、一丁前におまえを挑発して、生意気なものだったな。
　替わりに、今日の相手には死んでもらうとしよう。ははははは、誰かと思えば、カラケスじゃないか。チャクリキにいた時、隅っこで基礎やってたグリーンボーイだろう？　まったく、フェイク王者のレミーの奴が逃げ回ってるおかげで、あんな雑魚を相手にしなければならんとはな……。おまえには、何のメリットもないじゃないか。１ラウンドで仕留めて当然の相手だよな？
　まったく、ハーリックもこりないジイさんだな。アーツに粘着し続け、奴が戻ったと思ったら今度はおまえか。ヒゲなんか生やして……。おい、ハーリック！　歳食って、頑固さにも磨きがかかったようだな！　見かけはすっかり枯れてるようだが、脂ぎった性根に似合うように、マイクの腹の脂肪、ちょっと分けてやろうか？

　ちっ、聴こえなかったか。ふん、試合が終わった後の、奴の青ざめた面が楽しみだな。

　ほう、カラケスの奴、でかくなったじゃないか。だがまあ、所詮おまえの敵ではないよ。さっさと片付けよう。
　ははははは、もう足下がふらついているぞ。打たれ強さと根性だけは自慢らしいが、手も脚も、おまえに届きもしないじゃないか。
　くっ、凌がれたか……。何をしてるんだ？　バダ。最近、慎重なのが板についてきたか？　確かにおまえは王者だが、あの偽物王者のレミーなんかとは根本的に違うんだ。潰せ！　１ラウンドの体たらくはどうだ。奴にはおまえの拳は見えやしない！

　打ち返してくるか……！　生意気な！　貴様はガードを固めて、しょぼいローキックを打ってるのがお似合いだ！　ほうら、足下が覚束ないくせに！　スリップばかりしてうっとおしい……！　よし、今だバダ！　蹴り殺せ！

　ははははははは！　見たか？　ロープ際まですっ飛んでいったぞ！　おまえに逆らうとこうなる……さぞカラケスも身にしみたことだろうよ。
　……ん？　なに、反則？　おいおいバカを言うな。レフェリーは止めにも入らなかったじゃないか。
　反則負け？　バカを言うな。リングに立ってるのは誰だ？　ほら、日本の魔裟斗とか言う奴も認めてるだろう。王者は誰だ？　そこに寝っ転がってうんうん唸ってる奴か？　帝王に相応しいのは誰か、みんなわかっているはずだろう？

　……まったく、度し難いな。しかし、おまえの兄貴分は実に献身的だな。頭が下がるよ、私と言えど……ククッ。
　まああまり気にするな。K-1のベルトも今回も、単におまえが手放してやっただけのことだ。大したものじゃあない。今年こそはあのWGPをいただくんだからな。それまで、少し自首謹慎でもして英気を養うとしよう。

　お楽しみはまだまだこれからだ……そうだろう？　わたしのバダ・ハリ。わたしの王子よ。

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