"私は驚き、あきれ、そしてあきらめた"『ハングオーバー!!! 最後の反省会』


 シリーズ完結編!


 薬を飲まなくなり、相変わらずやり放題のアランに怒り心頭の父親のシドが、発作を起こして死んでしまった……。もはや打つ手を失くした家族は、アランの「親友」フィル、スチュ、ダグに頼んで、彼を施設に送り込もうとする。だが、道中、突如彼らの乗った車がギャングに襲われる。大物ギャングのマーシャルが、かつて奪われた金をチャウから取り返すために、彼らを利用しようとしていたのだ……。


 相変わらずザック・ガリフィアナキスがクズ過ぎるオープニングから幕を開けるのだが、すっかりスーパースターになったブラッドリー・クーパーの、もはやこの関係性を受け入れ切ったような表情が趣き深い。何か、悟ったように前向きで、拉致されても銃を突きつけられても、もうこれは仕方のないことなんだ、と割り切っているように見える。


 三作目ともなると、第一作のような圧倒的な不条理感はもはやなく、それなりに不謹慎なことが起きても何か既定路線のように見えて来るのだが、それにこのブラッドリー・クーパーの悟り澄ました風体が重なり、予定調和感がさらに増していくのである。


 タイトルの「ハングオーバー」という事象とそれにまつわる事件は、全ての出来事が自分の与り知らぬところで起こっているのに、間違いなく自分のやったことであり責任があるという、当事者性と非当事者性の交錯するところで起きているあたりがユニークなのだが、今作はケン・チョンジョン・グッドマンの争いに巻き込まれる形なので、むしろ心を強く持っていられるのかもしれない……。
 そうして前二作から、キャラクターの立ち位置、位相がずれているので、シリーズを重ねて感情移入が深まっているはずの分を差し引いても、何か他人事のように感じる話になってしまったよ。


 キャラクターの求心力が薄れたので、マンネリな話を新展開させる……ということであったのだろうが、シリーズの定型を外したせいで普通の誘拐ドタバタもののような筋になってしまったところも響いた。それならば、不謹慎ギャグをもっと過激にすればいいじゃないか、と思ったが、こちらもPG12……えっ、完結編が一番ぬるいってどういうこと……。
 ケン・チョンも出番が増え過ぎたせいか、うるさいだけでちっとも面白くないし、取ってつけたようなアランの成長物語も、実にどうでもいい。最後はまたああなるのがわかりきってるし……。


 ひさしぶりにヘザー・グラハムが観られたのは良かったね。とりあえず、完結おめでとうさんでした。