"MS祭り開催! 両極端へ加速!"『機動戦士ガンダムUC 4 重力の井戸の底で』


 舞台は地上へ!


 地上に降下したガランシェール隊とユニコーン。プログラムの次なる座標に向けて、地上のジオン残党が動き出す。陽動のためにダカールを急襲する巨大モビルアーマー・シャンブロ。ジオンの動きを食い止めるため、ブライト・ノアの指揮の下、出撃するロンド・ベル隊。その中には、マーセナス家の政治的事情に屈し、オードリーと離ればなれになったリディの姿もあった。ジオンと共に目的地に向かうバナージの目の前で、戦いが始まる……!


 今回は原作一冊半分ぐらいのストーリーのおまとめということで、もうダイジェストを通り越してオリジナルストーリーになっている。キャラクターもごっそりとカットされ、人物配置もかなり単純化された。特に親子関係の部分は、ロニが一人で台詞で語ることに……。バナージとの絡みがさすがに少なすぎで、最後の対決の会話シーンも前振りがないのでいまいち切実さが伝わってこないのだよね。で、リディが「血の呪縛に……」とか何とかしたり顔で言うのだが、おまえもさっき自覚したとこのくせに何を言ってるの? 本当にダメな奴だわ〜。
 語らなければいけないテーマを、尺短いから無理に詰込んだとしか思えない説明台詞の連続。もう会話になっていない。「人ではなくなってしまう〜!」って、いったいバナージというキャラのどこから出てきた発想なんだ、そのセンス……。同じように過去作品のパロディ台詞も全然血が通っていないのだよな。
 このあとのジンネマン絡みの話も削るわけにいかないし、いくらなんでも制約が多すぎる中での苦心に次ぐ苦心の結果がこれか……。きつい……。


 何だろうね、観ながら「早くモビルスーツ出ないかな〜」とばかり考えていたよ。ダカール襲撃シーン最高! シャンブロばんざい! ジュアッグカッコいい! そしてジム�はやっぱりちょっとだけネモやジム�より強かったな。
 そして後半も素晴らしい。バイアランつええ! 一機で戦況を引っくり返したぞ! あそこで単機で粘ったからこそ、ジェスタ部隊の到着まで持ちこたえたのだよね。『1』のスタークジェガンといい、無名の腕利きというのがいるのだな。そしてイフリートの登場にも胸熱。あ、もちろんゾコックにもね! 一年戦争時代の旧式機がズラリだが、相手と性能差があっても要はヒートホークなりマシンガンなりでモニターかコクピットを潰せば勝てる、というのがよくわかる戦闘シーンも良かった。
 まあしかし、誰が乗ってるのかもよくわからんモビルスーツの戦闘シーンが延々続くというのも、実にいびつな話ではあるが。一応ジオン側の思い、というのは語られるが、連邦側ってほんとに空っぽだよなあ。一般兵士はいったい何のために戦ってるの?


 最後は黒いアレが出てきたところで、またも引き!(もう慣れっこなので別に怒らないよ)


 いや〜、素晴らしいね。いいところはどんどん良くなり、ダメなところはどんどんダメになっていく! とはいえ、今回は半分オリジナルになっていたのが幸いし、今までで一番面白く観られました。もう次以降もお話変えまくっちゃっていいんじゃない? 新しいMSもまたバンバン出してさあ。

機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック2

機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック2