"しごきまくれ! more power!!! "『修羅雪姫』
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50年に渡る鎖国の続く日本。暗殺者集団・建御雷家の一員である雪は、20歳になった日に、かつての母の側近から、母が現在の首領・白雷によって殺されたことを聞かされる。激昂し、白雷に挑んだ雪だが歯が立たず、組織からの逃走を余儀なくされる。負傷し、逃げ込んだ家で、雪は反政府組織の活動家・隆と出会うのだが……。
梶芽衣子のあれとは全然関係ない映画。低予算のアクションもので、伊藤英明と佐野史郎出演のパートが釈由美子が暗殺集団と激闘を繰り広げるパートと完全に乖離していたりする、色々と残念な作品なのだが、ドニー・イェンのアクション・コーディネートだけでご飯三杯はいける。
ファンなら当然お読みであろう「ドニー・イェン アクション・ブック」の副教材としても最適な一本。神=ドニーさんならぬ日本のアイドル釈由美子を使い、いかに切れのある華麗なアクション・シークエンスを構築するか、彼のアクション哲学がみっしりと詰まっている。
バトルシーンの多くを占める林の中の立ち回りは、傑作『ドラゴン危機一発'97』を彷彿とさせる。木々の間を縫って走りながら打ち鳴らされる剣戟、剣を落としたら当然のように素手の戦いに移行!
クライマックスでは十対一の戦いが展開され、釈がドニーばりの空中二段蹴りからかかと落としのコンビネーションを見せる。直伝技キター! ソードアクションでは、谷垣健治氏自らが喉をさばかれ絶命!
ラスボスが嶋田久作なのだが、体格差もあり、釈では実力差がある、という描写が序盤になされている。その差を立ち回りの中でどう表現し、どう埋めるかというところも見どころ。
正直、大した映画じゃないし、スタントも高難易度かというとそうでもないんだが、不思議と気持ちよく通して見られる作品。昔、秘宝で読んだオーケンのインタビューでの、釈由美子による当時のドニーさんのエピソードも最高であった。手に刺さった刀を抜いて痛みに叫ぶシーンで、「自分、アイドルだし、あまりブサイクな顔にならないようにしよう」と抑えめで演技したら、ドニーさんが「カット!」言って飛んできて、何を言うかと思ったら、
「モア・パワー!」
どんだけわかりやすい英語やねん! この話は、「英語でしゃべらナイト」でも語られたらしい。他にも、彼は撮影の合間に鏡の前でブルース・リーが乗り移ったようなポーズをしょっちゅう取っているらしく、オーケンが「それ見て横で「プッ!」って吹いちゃったらドニーさんはどうするんでしょうかね?」と聞いたら釈は「自分のことだと気づかないと思います。ハッピーな人なんで」とのこと。さ、さいですか……。
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