"謎の全編日本ロケ! 日本食は美味そうです"『ダイエット・ラブ』

ダイエット・ラブ [DVD]

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 ジョニー・トー監督作! DVDで鑑賞。


 かつて、日本に留学し、音大生と恋に落ちたミニ。ピアニストを夢見る彼は、十年後の再会を約束し、アメリカへと去った。成功し、ピアニストとして名を為した彼は、日本へと戻ってくる。だが、ミニは彼の前に姿を現すことができない。彼女は寂しさとストレスで過食症になり、140キロのデブ女と化していたのだ……。
 転がり込んでいた真鶴の旅館で、同じ香港人の行商人「肥郎」(デブ)と出会った彼女は、彼に励まされ、壮絶なダイエットを開始するのだが……。


 今度、旅行で泊まる宿がロケ地だったので、観てみた。しかしなぜ日本で撮ったのだろう? 真鶴、横浜中華街、東京タワーと舞台は移り変わる。なんか、日本の連ドラみたいな構成だが、2001年頃の日本ドラマの隆盛と何か関係ある? 


 ストーリー自体はべったべたで、二人三脚のダイエットをしている内に、ヒロインもかつての男ではなくデブに恋してしまう……というお約束の展開。特殊メイクで太っている姿は結構可笑しいのだが、やはり題材的に痛々しさが先走るからねえ……。そこを補うために、センスあるギャグが欲しいのだが、中盤のギャグシーンに力がなく、悪ふざけも足りない。ちょっと監督の脂質、もとい資質に合わないのかな? やはりジョニー・トーはもう少しウエットでないと。終盤、デブ仲間たちが男気を見せる辺りの演出の方が、やはりいい。ラム・シューも出てるしな。どさくさに紛れて『ザ・ミッション』の紙くずサッカーを入れてるとこは笑った。


 大好きなノワールを撮るために、ジョニー・トー監督は金稼ぐ目的で、他のジャンルも撮っているという話だが、まあそんな力の入れ方の違いが如実に見える映画。どうも単純な話に終始し、同じデブネタでも『愛しのローズマリー』のような含意はない。

 
 しかしラストシーンのアンディ・ラウはテライケメソで、これだけで銭が取れるよ! ここだけ突然『暗戦』になるからな……。特殊メイクで太ってるだけ、とメタ的にわかってるはずなのに、サミー・チェンの「え!? これが彼!?」というあまりの落差へのリアクションに、マジにシンクロしてしまった。
 コメディとして弱い上に、特殊メイクのせいで、美男美女がバカな事を本気でやらかしてる、という香港映画らしい楽しみからも遠いので、あまりオススメではない作品。

暗戦 デッドエンド [DVD]

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ザ・ミッション 非情の掟 [DVD]

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