『シャーロック・ホームズ』


 原典ではなく、翻案したコミックの映画化。


 5人の女を殺害したブラックウッド卿を追いつめ、ついに逮捕したホームズ。しかし、絞首刑となったはずのブラックウッドは、謎の復活を遂げ、さらなる殺人を予告する。婚約し、ベーカー街の家を出て行こうとするワトスンを引き止めつつ、ホームズは事件の謎を追うのだが……。


 ガイ・リッチー得意の早回し&止め絵のガチャガチャした演出が弾けまくる……んだが、印象的なカットはこれ、コミックを再現してるのかな? そうでないなら単にカッコつけだが、もしそうならそれなりの効果を認めざるを得ない。
 カットバックなんかで推理シーンも処理してあり、まあまあガイ・リッチー演出はこの題材と噛み合ったかな……?


 もっともっとアクションものかと思ってたら、意外と原作ネタも盛り込んであり、設定もぎりぎり死んでいない。ダウニーJr.も見た目以外はかなりホームズしていて、そこらへんはさすがだ。ホームズ=変人という解釈に則れば違和感なし。ワトスンが喧嘩強いのも、元軍人なら当然か……。とは言え、思ったよりずっと推理していたが、悪役の仕掛けたトリックがしょぼかったので、ストーリー面ではパンチに欠けた。ちらちら出て来る教授の方が気になるし……。
 教授の命令で密かに動くアイリーン・アドラーが、ホームズの味方となるのか敵になるのか微妙な役どころで、なかなか面白い。しかし、こういう役どころってなんかあったよな……と思ってたら、ツイッターで見たこんな感想で腑に落ちた。


「五右衛門のいないルパン三世


 それだーっ!


 ホームズ=ルパン三世
 ワトスン=次元
 アイリーン=不二子
 レストレード=銭形警部


 うむむむむ、ドタバタっぷりといい、事件の内容が秘密結社とかメカとかいう辺り、まさにそんな感じだ。そうか〜、ホームズと思って観に行ったのだが、中身はルパン三世だったわけか……。そんな詰まらなかったわけではないが、どこか残る釈然としなささの正体がわかったね……やっぱりこれはホームズじゃないよ!