”全世界は私のものだ〜フハハハ”『デビルマンVSサイボーグ009』


 あのヒーロー同士が対決!


 001の新たな予知、それは「悪魔が来る」というものだった。ミュートス・サイボーグとの熾烈な戦いからもつかの間、009たちは手分けして調査を開始する。一方、悲しみながらジンメンを倒した不動明は、再び日常へと戻っていたのだが、ある日謎の転校生がやってくる……。


 コナンとルパン三世も戦ってたけど、今度はもう少し時代の近い漫画同士の対決! まあ『サイボーグ009』はすごい長期連載だがな……。監督は『009』の2001年に放映した平成版アニメの人で、あれは原作に割合忠実に作っていたな……。これは『Re:cyborg』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20121106/1352115871)よりは期待できそうだ(あれはあれで別に嫌いじゃないが)。


 冒頭、009VSミュートス・サイボーグの対決から幕開け。ファンサービスであると同時に、この時期ですよ〜というのを端的に示す。「あとは勇気だけだ」の名言キタ! 続いてデビルマンはジンメンとまさに死闘中。両作品共、主人公が自分を信じてシンプルに戦っていた時期ですね。地下帝国ヨミ編の前なので、ヘレナとヘレンの容姿かぶってる問題は考慮する必要がないから、ヘレナはオリジナルのデザインのままでした。デビルマンも原作・OVA準拠で、デビルビームは撃ちません。


 一応、舞台は現代ということになり、ギルモア博士の施設や、飛鳥さんの小道具も最新のものにバージョンアップされている。劇場に入る前、平成アニメのファンらしき女性二人組が「ハインリヒの活躍はあるんやろか。ミサイル撃って終わりかも……」と不安がっていたが、各ゼロゼロナンバーも最初から集まっている状態で、全員見せ場あり!


 0014~17、ハイティーンナンバーサイボーグを操る博士が『009』側、おなじみデーモンが『デビルマン』側の敵で、両者を打倒するために悪魔と融合したサイボーグを作り出そうとする……ということで、最初は誤解含みで対決することになった009たちと不動明が、やがては共闘するという定番の流れ。原作の途中のこの時期、と決まっているということは、その後の各作品の流れを壊さない範囲で物語が進行する、ということでもある。必然的に配慮に配慮を重ねたストーリー展開になるわけだが、そこは川越監督の起用がズバリ当たった感あり。メカデザインや戦闘スタイルこそ現代的にしているが、キャラクターは決して壊さない。


 いや、各主役級キャラより、新規で造形された悪役たちの清々しさに感動したなあ。全員が全員、己の欲求に忠実で、名声やら強さやら復讐やら、自分のことしか考えていない! 絶対に「セカイ系」に流れない! 「神」との対決がいずれ訪れることを匂わすような台詞もあるのだが、この時点ではまだ早いからね。


 OVA三話の一挙上映という形なので、いちいちOPテーマとEDテーマも3回ずつやるのがな……。OPは009、EDはデビルマンで、どちらもJAM PROJECTが歌ってますよ。3回も聴くと結構耳に残るな……。1回目のEDテーマの時は、「えっ? もう終わった?」とちょっと焦ってしまったね。


 あまり期待せずに観に行ったが、ファンならば外さず楽しめる内容でありました。BD版はラスト三話目が何分か長いようだが……。

サイボーグ009 大解剖 (SAN-EI MOOK)

サイボーグ009 大解剖 (SAN-EI MOOK)