『1303号室』

 DVDで鑑賞。


 海沿いのマンションに引っ越した妹の、突然の飛び降り自殺。不審に思った姉は、そのマンションの1303号室の住人となった若い女5人が、いずれも飛び降り自殺を遂げていることを知る。そこには、憎悪に彩られた悲しき母娘の影があった……。


 大石圭のオカルト進出第一作を映画化。


 ロケーションが素晴らしく、マンションの外観やムードが原作のイメージ通り。が、全体的に低予算で、特撮シーンなどもチープな作り。ショッキングシーンも多用し過ぎで、いささか怖さに欠ける。
 ただ、原作も真相と呼べるべき部分を中盤で割っており、著者得意の心理描写を中心とした作品。後半に向けて疾走感を高めるサスペンス的な作りには、いささかそぐわなかった。かと言って、この役者陣ではあまり深い演技は望めないしなあ。
 もう少し詰め込んで、1時間ドラマにすれば良かったかも……。


 映像特典では、大石圭と監督の及川中の対談も。
 ……? 誰だ、このさわやかかつ明晰なしゃべりをしている男は……? バカな! 顔はウェブサイトの著者紹介の大石圭とそっくりだが、別人に違いない! 大石圭はもっと、「あ、あの……お釣りは結構ですんで……」とボソボソと気弱げにしゃべる男じゃなかったのか!? 少なくとも自分を投影していると思しき主人公は、みんなそういうしゃべり方をしてたじゃないか!
 うーむ、騙された。いや、違うな、おそらく本人のセルフイメージでは「ああっ、今日もたどたどしくしか話せなかった」「監督に迷惑をかけてしまった」とか思っているに違いない。全然そんなことないよ!
 くそ〜、ビッグストーンめ〜、日頃殊勝なことばかり書いているが、もう騙されないぞ!

1303号室 (河出文庫)

1303号室 (河出文庫)