”天使の眼が見たもの”『監視者たち』
『天使の眼、野獣の街』のリメイク。
韓国警察特殊犯罪課の監視部門に新たに加わった新人刑事ハ・ユンジュ、コードネーム「子豚」。上官であるファン・サンジュン「ハヤブサ」の指導の下、武装犯罪グループの追跡をすることに。だが、影も形も見せぬ犯罪グループのリーダーは、彼らを嘲笑うかのように強盗事件を繰り返していく……!
ジョニー・トーが製作した映画の韓国版リメイク。オリジナルは観たかったのだが、公開当時見逃してそのままになっていたよ。面白いという話は聞いていたが、DVDは高騰中だな。
警察の一部門である、監視カメラの映像を追ったり実際に街を捜索する「監視班」と、謎の強盗団の攻防を描く。冒頭はチョン・ウソン演じる悪役が、遠隔地から実行犯部隊に指示を出して強盗をするシーン。実は監視班のメンバーや、これから採用される新人である主人公ともニアミス。
最初はよくわからず観ていたので、チョン・ウソンが警官に指示しているのかと思ったぜ! しかし主人公の上司はこのイケメンではなく、『ザ・タワー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130903/1378208283)では消防士だったり、『ソウォン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20140831/1409412946)では着ぐるみの中に入っていたりしたソル・ギョングさんでありました。監視班のリーダーとして、自ら主人公の追跡対象になってテスト。直後の強盗事件発覚を経て、新人も加わった監視班と、チョン・ウソン強盗団の対決が幕を開ける。
監視班の仕事はあくまで監視のみで、まずは事件後に映像を漁って手がかりがないかお浚い。主人公はちょっと普通でないレベルで視野が広く記憶力が優れていて、目に映ったあらゆるものを映像として記憶している。オリジナルの邦題「天使の眼」(当時は不評だったと記憶している)はここから来ているわけですよ。もちろん、かわいいからでもあるんだけどね! このヒロインのハン・ヒョジュ、正義感が強く真面目、やや自信過剰、ボス曰く「マヌケでなければ誰より優秀」な人物。少々子供っぽいイメージでまとめつつ、裏表のない好感の持てるキャラに仕上がっている。ニューフェイスでもある彼女の成長の物語にもなっているのだよね。
次々と起きる強盗事件を追い、一味の一人である太った男を発見したことから、ついに糸口をつかむ。「カバ」とあだ名されるこの男、オリジナルではラム・シューが演じていたはずで、あちらが豚なら今回はまさにカバだな、というルックスでありました。
並行してチョン・ウソン側の裏の事情も描くことで、後半に向けて加速していく事態の推移を見せる。互いに相手の真の姿は知らないままに、わずかな手がかりと観察眼を頼りに激突の瞬間へと迫っていく。時代を置いてのリメイクということで、オリジナルよりもかなりハイテク化しているあたりも見所で、こんだけあちこちリアルタイムで監視できたら、もう『ダークナイト』のシステムと変わらないんじゃないの、という気がしましたね。そういう「監視」の倫理には全然迫りませんが。
韓国の街並みは香港ほど特徴的ではないように感じたが、それゆえに日本ならばと重ね合わせることも可能に見えた。こんな映画も邦画で作りたいね。
場内はチョン・ウソンファンのおばさま方と、2PMのファンのもうちょい年齢層下の方々で、メンズデイなのにいっぱい。2PMは主人公「子豚」の先輩に当たる「リス」役で、かなり活躍シーンも多かったし、チョン・ウソンとの対決シーンもあり。
各キャラ、ほとんどニックネームのみという扱いでバックボーンは掘り下げないのだが、チーム内と司令室のやりとりだけで人間模様を見せていく手際が抜群で、知らない間にチームに感情移入させられる。
細部まで神経が配られたサスペンスで、非常に面白かったですよ。今年のベスト級に入ってくるかな。
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