"砕けた月の下で"『オブリビオン』
トム・クルーズ主演SF! 試写会で鑑賞。
2077年、異星人「スカヴ」の攻撃を受け、月が破壊されたことによって、地球は大変動に見舞われた。勝利するもわずかしか生き残らなかった人類は、土星の衛星タイタンへの移住を決意。地球の周囲を回る中継ステーションを経由し、旅立って行った。荒廃した地球から資源を引き上げるために、無人機ドローンとその整備員が残留することになり、ジャック・ハーパーは機密保持のために記憶を消され、妻と共に「スカイタワー」で任務に勤しんでいたのだが……。
観てないけど『トロン・レガシー』の監督はメカフェチの尻フェチみたいに聞いていたので、さあどんなもんかと思っていたが、まったくその通りの映画であったわ〜。予告でも飛び回ってた飛行機のような機体で、我らがトム野郎がお出かけしてはいちいち空中チェイスを展開し、基地になってるタワーに戻ってきたら『シャドー・ダンサー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130415/1366022301)の人妻ことアンドレア・ライズボローが尻を出してお迎えするという、なんとも欲望に忠実な代物であった。
後から出てくる『007 慰めの報酬』のボンド・ガールことオルガ・キュリレンコも合わせて、女優を綺麗に撮るのは上手い。とは言え、生々しい美しさではなく、自らの世界観に落とし込むような、お人形さん的なSF映画らしい表現ですね。修正されたような肌の質感に、ボディスーツの上から見てもムチムチの尻……。
007映画と裏007映画のヒロインが並び立ち、その間で色々と美味しい思いをするのはもちろん大スターのトム・クルーズ! 女優が脱ぐのに合わせて自らも脱ぎ、序盤から早くもシャワーシーンを炸裂させる。これを皮切りに始まる、止めどないオレ様展開……!
これを書いている時点では公開前なので、今回はネタバレは避けておこうかと思うが、一つだけ書いておくと「最も優れた人類=トム・クルーズ」という設定にはバカウケしちゃったね。またも大オレ様映画で、いちいち肥大化した自己像を突きつけられてしまいましたわ……。結婚願望や娘への愛やら語るあたり、もう勘弁してくれよ、トムちん! ラストに近づくに連れて画面の占有率も普通じゃなくなって行く……。これはヴァン・ダムとかミラジョヴォさんもやったあれなんですけど……。
オープニングからトム野郎が色々と世界設定のあらましをしゃべってくれるが、彼自身が五年より以前の記憶を消されているという設定なのに、それ以前のことを語ってしまう。これはミステリ的に言うと「信用ならない語り手」ですわね。
予告でもだいたいバラされてるが、地上にいる人類はトムとパートナーだけのはずが、どうもそうではないらしい。地上で活動していると、時折出没する「宇宙人」が無人ポッドによる攻撃で殲滅されるシーンに突き当たるが、この「宇宙人」のかぶってるマスクが、まさかの『プレデター』オマージュ! まあこれで何かを期待する人はいないだろうけど……。
このネタって、あのゲームのあれと一緒だなあ。元ネタは何なのかなあ、古典SFにあるのかなあ、などと考えながら観ていたが、何一つ意外な展開がないのも響いたね。でもネタバレしてしまうと、本当につまらなくなるので……。
テンポもかったるく感じるかどうかのギリギリのところで、なかなかきつい映画だった。ヒロインを眺めて凌げたところが救いですよ……。
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