2013/3/3 UFC JAPAN観戦記
さて、約一年ぶりに、再びUFCが埼玉に上陸! ということで、もちろん行って参りました。前日に現地入りし、まずは関東の映画クラスタのいとっとさん、チャトラネコさんと新都心で食べ放題! もう食えないというぐらいに食べつつ、映画や、30代後半を迎えるにあたっての身体作りについて、それぞれが嗜むランニング、自転車、キックボクシングの効能などについて語り合ったのでありました。
翌日はおなじみ東横インの朝食で、おにぎりを五つほど食いだめしまして準備万端。これで夕方まで何も食べなくても大丈夫! そうは言いつつ、昨日ホテルで食べようと思って買ったけど、食べ放題しすぎて入らなくなったお菓子を持ってましたがね……。
9時過ぎに会場前に行きますと、長蛇の列が! 入り自体は落ちているという話だが、朝の列だけなら去年のより長いんじゃないの、というぐらい。しかし最後尾まで行くまでもなく、この日合流予定だったMr.Y氏がすでに並んでいたので、「やあやあ、どうもどうも」という感じで平然と割り込みをかけることが出来ました。しかしY氏は3万円台の席なのに、同じとこに並んでいるんだね……。
開場自体はスムーズに進み、あっさりと場内に入ることが出来ました。そして、9時40分ごろには早くも第一試合が開始!
ウェルター級 5分3R
マルセロ・ギマラエス
イム・ヒョンギュ
去年は第一試合は景気良くKOだったんだよなあ。まあその勝った日本人の彼も、今やリリースされてましたかね……。この試合も何度か繰り出していたヒョンギュのテンカオが、顎に直撃〜! うお〜、やった〜! 幸先いいぜ! 韓国応援団もちょっときていた模様で、いい感じに第一試合から盛り上がりました。さあ次も頼むよ!
バンタム級 5分3R
アレックス・カサレス
カン・ギョンホ
カン・ギョンホ、なかなかイケメンですね、と思ってましたが、対するアレックス・カサレスの入場、聞き覚えのある音楽が……「tank!」やがな。『カウボーイ・ビバップ』のオープニングですね。なぜにこの曲が……と思ったら、入場してくる男はひょろひょろ体型にモジャったヘアースタイル! えっ、もしかして自分がスパイクのつもりなの、この人!? アニオタ!? まあ名作だし、声は山ちゃんだし、会場でも多分100人ぐらいは反応していたと信じたい。もうこれはカサレスを応援するしかあるまい……。
なんかくねくねした動きのカサレスがスタンドではペースを握るのだが、いいところでテイクダウンされて攻めを寸断される展開。立って凌ぐが、お互い決定打はなく判定へ……。スプリットでカサレス! わあわあわあ、やっぱりジークンドーはMMAルールでも強かった!
ライト級 5分3R
クリスチアーノ・マルセロ
徳留一樹(パラエストラ八王子)
現在の日本のローカル大会のエース級の選手が初参戦ということで、東京での観戦が日常になってるような人は結構思い入れて見られるんじゃないかな、というカード。が、もちろんおいらは違いますよ〜!
序盤、マルセロの下手なパンチがガンガン当たってしまい、うわ〜、これは固いか、と思ったのだが、立ち直ってテイクダウンを奪う徳留。出足こそ良くなかったが、もともと地力が上だった感じで、各ラウンドに必ず印象いい攻撃を見せて終わる。終わってみれば完勝でありました。次はもう少し上のレベルの相手と観たいね。
バンタム級 5分3R
水垣偉弥(シューティングジム八景)
ブライアン・キャラウェイ
さて、判定が続いて、ここらでちょっと……と思ったが、まあ水垣に期待してもダメだよねえ。しかしまあ判定だからつまらないと言うわけではなく、優劣がコロコロと入れ替わるシーソーゲームは、ジャッジしながら見ていると結構面白いかったりする。この試合はその典型で、打撃当てたらテイクダウン取られ、倒したと思ったらバックに回られ、と、なかなかジャッジ泣かせな展開に。キャラウェイのガード下げすぎなスタイルも幸いして、水垣のストレートも当たるのだが、テクニックではやはりキャラウェイか。互いにダウンも奪い合い、非常に微妙なゲームに……。判定はスプリットで水垣! ケージで号泣。こんなに泣く選手、海外にはおらんやろ。まあしかし、去年は妙な判定でやられたからなあ。とりあえず良かったです。
ミドル級 5分3R
福田 力(GRABAKA)
ブラッド・タバレス
前座の最後の試合がこれ、ということで、去年は見事勝利した福田。関係各位からも安定感に高い評価……だったんだが、この日は悪い意味で安定しておったな。ジャブの差し合いで当てられ続け、右の蹴りで身体を起こされ……って、これは去年に左の蹴りでペース取った自分の戦いぶりそのままではないかね。タバレスが手堅くワンツーを決め、優勢を常にキープ。こうなると、その安定感が災いし、そのままダラダラとした展開を続けてしまう福田くんであった……。ちっとも局面を打開できるような気がしないまま終了……。これは面白くない判定試合でしたね。
前座はこれで終わりか……。去年の前座ラストが五味さんのオモシロ試合だったことを考えると、やっぱりカード弱いよね。そして判定続きで、ほぼ休憩なしでメインカードに……。このあたりで、お菓子を貪り食うオレ。
ウェルター級 5分3R
キム・ドンヒョン
シアー・バハドゥルザダ
そうそう、去年はこのメインカード一発目で、ペティスさんが年間ベスト10級のKO劇をね……。しかし、期待の選手みたいに煽られてたシアーだが、ドンヒョンの寝技の前に終始見せ場無し! ドンヒョンもコンディットとマイアにはやられたが、戦績だけ見れば立派なもので、中堅以上の地位を固めてるよね。が、マウントまで取って完全コントロールするも、なぜか毎ラウンド極めるまでは到らず……。実力差ありありなのにフィニッシュしないという、これまた判定試合のストレス溜まるパターン。煽りに応じてモンゴリアンチョップやパウンドを落とす……んだけど、これで余計に決まる気がしなくなっちゃったよ! 判定は圧勝でドンヒョン。うーむ。
お〜、UFCデビューでメインカードとは、なかなかいい扱いじゃないかね、廣田選手。ヤヒーラというのも日本でよく試合して、まあ言うなればスタイルも見えている相手で、廣田にとっては相性のいい選手という予想。階級も落としてるからフィジカル負けもなかろうし、タックルを切ってこつこつ打撃を入れていけば……。
……と思ったら、「ぜっっっっったいに寝かす!」と言わんばかりのヤヒーラの気迫がすげえええ! 切られかけて強引に食らいつき、パワーファイターかよという強引な持って行き方。あれよあれよとラウンド序盤からグラウンド地獄に引きずり込まれる廣田! 2ラウンドは肩固めで窒息寸前に!
あ〜あ、これで2ポイント取られたのは間違いないな……。さあここから逆転KOを目指すしかないのだが、完全にスタミナ切れてヨレヨレになったヤヒーラは渾身の逃げ切り態勢。飛び膝などヒットさせるも、捕まえ切れずに終了。
あ〜、北岡戦も3ラウンドだったらこんな感じの結果だったのか。ヤヒーラの作戦にハマっちゃったなあ。相性の悪さにめげずに一点突破を計ったのはお見事ですな。
ミドル級 5分3R
岡見勇信(和術慧舟會東京道場)
ヘクター・ロンバード
去年に引き続き、いやな相手を迎えた岡見さん。いや、単に強さじゃ去年以上じゃね? 正直に言ってしまうと、去年の再現になったらおもしれえなあ、と思っていたのであった。まさにその通りの展開で、1ラウンドシングルレッグでテイクダウンを奪い、2ラウンドにはマウントを奪取! ……ええええええ、ここまでは去年と全く同じではないか。これは否が応にも期待が高まる。当然3ラウンドには出て来るロンバード! 急にあわわわわわわ、となった岡見さん、パニックを起こしたように必死で下がり、辛うじて凌ぐも上を取られる。いや〜、あわやKOではないか、という感じで、ちょっとガクッとなっちゃった時の対応にも不安を残したね。これでやられてたら爆笑ものだったが、辛うじてポイントで逃げ切り成功。薄氷の勝利であった。こういう時こそ手堅く期待を裏切ってしょっぱく勝つ岡見さんであってほしいのだが、徐々にオモシロ試合空間に引きずり込まれていきそうな感もありますね。
ライト級 5分3R
五味隆典(久我山ラスカルジム)
ディエゴ・サンチェス
セミ前に大昇格の五味さん。前戦の勝利は評判良くなかったが、オレは結構評価してたよ。「スカ勝ち」なんていう、体格差ある相手を何人も薙ぎ倒した過去の幻想にいつまでも捕われるよりか、今持てる全ての力を発揮し、地味に泥臭く競り合って勝つ。これこそUFCのリアルに対抗するためのスタイルではないかね。
さて、その五味さん、今日も前に出てプレッシャーをかける! 大振りをちらつかせて、丁寧にジャブを突いていく。サンチェスは警戒して距離を取り、あまり仕掛けて来ない。五味さんは得意のボディも無理に狙わず、粘りのスタイル。
いや、やっぱり近づいたらあんだけ振り回されると、警戒心強い選手は行きたくなくなるよね。アウトボクシングしてカウンター狙う安全策をどうしても取ってしまう。だが、そのためポイントは奪えず、試合はどんどん拮抗していってしまうわけだ。おそらくこれは五味陣営の狙い通り! ならばとテイクダウンに活路を見出すサンチェスだが、1ラウンドこそ倒したものの、2ラウンド以降はしっかり切られる。これも大振りを警戒して遠い距離から仕掛けているからで、要は腰が引けている。
ミドルキックは当てるサンチェスだが、どう見てもクリーンヒットも手数も足りない。この五味さんの戦術を打開するには……当然、ネイト・ディアスみたいな頭のネジが飛んだ奴が「当たるわけねえべよ!」と自分のボクシングにかけて打ち合いを挑むしかなく、そうなると往年の打たれ強さも破壊力もない五味さんが逆に圧倒される場面もあるはずなのだが、近年のMMAの安全策がそうさせないのだな。
まあでも、1ラウンドはテイクダウン取ったサンチェスで、2〜3ラウンドは微妙だったので、スプリットでサンチェスという結果も別に納得だな……。あとは五味さんは、要所で仕掛けてズルくポイントを奪うオプションを一つ二つ持てればいいのだが。
ヘビー級 5分3R
マーク・ハント
ステファン・ストルーブ
さて、ここまで地味な試合が続きましたねえ……。ここでヘビー級ですが、これもまた両者スタミナ切れでグダグダに終わる可能性を秘めている。さあ、果たして大丈夫なのか……。
フックを振るっていくハントだが、ストルーブは早速引き込み! いや、このノッポさん、かつてはもうちょいヒョロヒョロしてたんだが、かなり横にも大きくなって、厚みを増してるよね。負ける時は壮絶KO負けするが、この抜群の体格を生かして手堅く戦績も重ねている。特に一本勝ちの多さは特筆もので、寝技に難ありのハントさんをきっちり固めて一本取ってしまうのでは、と戦前は予想していたのであった。
しかし、極まらない! 今では珍しい引き込みに行くストルーブ。もういつでも一本取れるよ、と言わんばかりの動きだったが、なぜかハントが脱出してしまう! で、離れて立てばいいのに、なぜかサイドを取り返したりしてワンダーな動きを見せる。ストルーブも下になる事に無頓着。マウントを取っても、強引に腕取りに行ったり、一本狙い。
ハントさん、多分、寝技やら投げやらは練習してるんだろうけど、戦術的にはあまり考えてないというか、闘い方はいつも通りの野生児なんだわな。何かを徹底してやる、ということをせず、その時のフィーリングでやるというか……。そういうハントさんを攻略するには、やはり緻密に水も漏らさず着実に攻めるべき、なんだけど、ストルーブもそこらへんが少々雑であったか……。
極まりそうで極まらない展開が続き、じわじわとパンチが効いてきたストルーブ、3ラウンドについに棒立ち! フックの前にブロックを固める! あ〜、だめだだめだ、こんだけのリーチがあるのに、なんでそんな打って下さい、と言わんばかりのディフェンスなんだ。何発も拳をねじ込まれ、ついに巨体が陥落! シュルトさんなら距離を取ってジャブを打っただろうがなあ。
いや〜、やってくれたぜ、ここでKOとはさすがですよ、ハントさん。手応えあり、とばかりに追撃しなかったあたりもいいですね。
ライトヘビー級 5分5R
ヴァンダレイ・シウバ
ブライアン・スタン
ミドル級のランクではスタンが上だろうが、今回はライトヘビー契約。シウバは調子はどうかな? 減量してなくてかえって体調はいいかもしれないし、モチベーションは言うまでもなく高いだろう。どちらもやはり普段より大きく見える。
試合は……殴り合いだあああああ! いや〜、UFCもこのカードはすごく「お膳立て」をしてるわけじゃないですか。シウバの第二のホームである日本で、減量もなしで、メインイベントに据えて……。さらに対戦相手は同体格で、殴り合いにも応じてくれそうな好人物で知られるスタン。スタンがいかに人格者で知られているかは、UFCでもっともセンスフルなコメントを発するあの人の発言からわかりますね。以下、引用。
>ブライアン・スタンは素晴らしい人間だ。自分は2008年に、アメリカ大統領選挙でスタンに投票した。2012年にも再び投票するつもりだ。そしてスタンが法律上も大統領になれる35歳になる2016年には、みなさんもブライアン・スタンに投票していただきたい。傑出した人物だ・・・< (出典: http://omasuki.blog122.fc2.com/blog-entry-1143.html )
しかしいくらお膳立てしたところで、やっぱり勝つにはテイクダウン行っちゃった方が確実だったりするし、すべてが常に噛み合うわけじゃない。でも、今回はそれがすべてハマったなあ……。シウバがぐらつけばスタンが崩れ、1ラウンドから壮絶なフラッシュダウンの応酬に。シウバにダメージの蓄積があるのは、誰もがわかっているが、だからと言って殴り勝つ以外に勝ち方があるのか? スタンも真っ向勝負でこの今日のヒーローを打ちのめすべく、殴り合う。
お互いにそれなりに対策もあったのかもだが、始まってしまえば全て吹っ飛んだような殴り合いだったね。しかし、2ラウンドはさすがにペースダウン。一転して緊迫し、静かな応酬が続く……。乱打戦から、斬り合いに移行したような……。決着は突然訪れた。ほぼ同時に動いたように見えたが、ヒットしたのはシウバの右のカウンター! 崩れたスタンに返しの左も直撃し、追撃に行って勝負あり! 会場が爆発した!
いや〜、神がかったタイミングの一発だったなあ。何時間闘っても、時に決して訪れないことのある一瞬が、このタイミングでやってきてしまう、というのは、やっぱりシウバという選手が何か持っているスターだということなんだろうね。乱打戦の中のヒットじゃなく、狙った一発だったのも、ベテランが今まで積み重ねてきたものが結実する瞬間という感じで素晴らしかったですな。本来、水物である不確定要素だらけの格闘技興行の中で、全てが思い描いた通りになる理想的瞬間。出来過ぎでしょ。
そして敗れたブライアン・スタンにもありがとう! 次の大統領選では、僕も投票します!
終了後は、なぜか今時mixiでつながってる(笑)、格闘技ファン諸氏と挨拶。自分のマイミクであるAKIRAさん、Mr.Y氏、CHIさん、初対面のツキノワさんと、去年と同じく近場のウェンディーズに転がり込んで飯を食いつつ、延々と格闘技談義したのでありました。もう地元に格闘技ファンもいないし、なかなかこういう機会もありませんからねえ。色々と昔の話にも花が咲きましたが、また来年にはUFCで集まりたいですね!
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