"僕のパパはCIA"『シャドー・チェイサー』


 ブルース・ウィリスが主演じゃなかった映画!


 両親がバカンスを過ごすスペインにやってきたウィルだが、久しぶりに会う父親とは相変わらずギクシャク。さらに経営する会社の倒産によってすぐにアメリカに引き返さねばならなくなる。だが、落胆したまま買い物に出て、家族が過ごすクルーザーに戻ると、そこはもぬけの空だった……。家族はどこへ消えたのか? 困惑するウィルは警察に訴え出るが、謎の男たちが接触して来る……。


 見る前からしばらく「ジム・カヴィーゼルの出てる映画」と脳内で記憶してたんだけど、違ったよね。『インモータルズ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111029/1319821054)のヘンリー・カヴィルが主演でした。カヴィはまあ合ってたけど、ジム・カヴィーゼルはもう歳も取ってるだろうし、こんなアクションに出られんよね(元から出てなかったけど……)。


 まあしかし、これはつまらんかった! なんでシネコンでかかってるの? 『エクスペンダブルズ2』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20121028/1351425913)つながりでブルース・ウィリス出てるから? 『未体験ゾーンの映画たち2013』に回したらいいんでない、という内容。いや、あれに入れたら多分面白い部類になってしまいそうだが……(笑)。しかし緊迫感はないし、敵の正体はすぐ割れるし、謎もないし、解決は他人任せだし……全然いいとこがないではないか!


 実はCIAでした〜、ごめーん! というブルース・ウィリスもいかにも唐突だし、そのスーパースキルの片鱗も見せぬまま退場するのな。で、親子仲に忸怩たるものを抱えていた息子ヘンリー・カヴィルが代わって奮闘するんだが、出て来るのは父の隠し子! 現地に妹がいてびっくり! これは親子関係の修復どころじゃねえ事態だよね、と思ったが、なんとなくスルーされて格好だけ美談のようになってしまうあたりもひどい。
 唯一奮闘しているシガニー・ウィーバーの怪演も、ダメ映画にちょっとでも見所を作ろうという泣かせるプロ意識から来ているのだろうなあ。もちろんラストで討ち死にしますが。


 観た時はなんじゃこりゃつまんねえ、と思った『デンジャラス・ラン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120909/1347193667)が傑作だったような気がしてきた。あれと同じく相変わらず世界中でいらんことやってるCIAの話だが、それにかこつけた観光映画とでも思えばいいか。薄く雑で何もなく、テンポだけはまあまあという悪しきハリウッドのアクション映画。まあ退屈しのぎには。