"花嫁はチェーンソーがお好き"『REC3 ジェネシス』

　いや〜、続編があるとは思わなかったなあ。

　バルセロナにおいて、盛大な結婚式を催したコルドとクララ。だが、披露宴の最中、異変が起きる。犬に噛まれ手を怪我していた叔父が突如豹変し、参加客を襲ったのだ。襲われた者もすぐに凶暴化し、手当り次第に襲いかかる。式は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図となり、コルドとクララも引き離されてしまう……。

　まさかの続編で舞台と登場人物は変更、時系列では『１』と同じで、なおかつPOVじゃなくなる、ということで、前評判からはこりゃあ色々と冒険しとるな、という印象。さらに予告編を見たら、純愛アクション映画のごとく宣伝されてて、楽しみ半分危惧半分といったところであった。

　POVは序盤で終了するが、カメラを自ら壊すセルフパロディっぷり。少々狙い過ぎかとも思え、伏線の張り方にわざとらしいところも散見されたのだが、後半に向けてテンションは急激に上がって行く。デジタルで綺麗すぎるぐらい綺麗な画面で、スプラッタシーンも執拗に見せつけ、妥協無しの過剰さを見せつける。その分、怖さはもうまったくと言っていい程なくなったが、前作のガジェットを申し訳程度に入れながら過剰にギャグも盛り込んで、今回は違う物を見せますよ、ということをアピール。
　今までのPOVのカメラの舞台裏を観てるような感覚があって、妙な新鮮さが生まれたのが不思議なところで、新郎新婦の逆襲が開始する後半に至って盛り上がりも最高潮。ただ、クライマックスはそこではなかったのだね……。ラストが美しくも凄惨で最高！　結局のところ、襲いかかるゾンビよりも、それを隔離しようとする人間の方がずっと不気味で、ビニールシートの向こうでうごめく彼らの恐ろしさだけは前作そのままであった。

　画面作りの平板さや、アクションからラブシーンへのつなぎがもたついた辺り、不満もないではないんだが、90分以下の短尺で1000円で大虐殺ショー、大破壊が観られるんだからマストの一本でしょう。

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