"オレはアポロ18号なんだァーッ!"『アポロ18』


 ベクマンベトフ製作のフェイク・ドキュメンタリー!


 17号を最後に終了したはずの「アポロ計画」……だが、人知れず18号が、三人の飛行士を乗せて月へと飛んでいた。ある極秘の任務を遂行するために。だが、月面に降り立った飛行士たちを異変が襲う……。


 『トロール・ハンター』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120329/1333025282)も面白かったし、これも結構期待して観に行った。まあ不評も聞いてたけどね。
 当時のフィルムがネットに流出……!という設定だが、映像はフィルムっぽい古ぼけた感じを含めて良かったね。肝心なところで露出がおかしくなり、あれええええ見えないいいとなる都合の良さも楽しい。
 しかし当時っぽい視野の狭い画面で、宇宙服のヘルメットかぶって周囲も良く見えない人の閉塞した空間での生活を見せられるので、いかんせんテンポが悪い! さらに画面が小さいので情報量が少なく、隅っこに映ってる何かがそろそろピクッと動くかな〜というタイミングをダラダラと待ち続けるようなことになり、強烈な睡魔が!


 月面に出て行った主人公たちは、トミー・リー・ジョーンズの死骸を発見(時代が全然違います)。その死には意外な真相が! ……という話でもあるんだが、どうもこの辺りも前振りがないせいで乗れなかったな。このネタなら、18号より前に着陸した船がまったく無事で、それなのに今回わざわざ政府がこんなことをした理由がいまいちつかめないんだが……。でも17号以前の話にしたら、生還したことがわかっちゃうからなあ。ここらへん、実話をモチーフにすることの難しさも感じた。


 「政府の陰謀」とか「謎の電波」とか「感染」とか、いろいろと怖そうなキーワードは散りばめられているんだが、雰囲気だけなのだよねえ。さらに単に出来事が順番に起きるだけ、という趣のシナリオが重なって、非常にのんびりとしている。ただでさえ少ない空気のなくなるタイミングまで、なんとなく生き延びてしまうし……。「月の石」にもちっとも魅力を感じなかったな。


 これならば『月に囚われた男』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111101/1320147220)の方を断然推すなあ。設定と絵面だけで力尽きたような、よくある凡作でした。

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