"空手に先手なし"『黒帯』
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2008/03/25
- メディア: DVD
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
昭和七年。伝説の空手家、柴原英賢の下で修行を積む三人の男たち、長英、大観、義龍。ある日、憲兵隊に道場の明け渡しを迫られたことで、英賢の教え「空手に先手なし」を破った大観は憲兵を殺害し、教えを守った義龍もまた分隊長に屈辱を味わわせ自刃へと追い込んでしまう。直後、英賢は病に倒れ、長英に継承者の証したる黒帯を託して逝った。一方、憲兵隊は彼らの空手の強さに目を付け、隊の強化のために迎え入れようとするのだが……。
主役の人たちが男前だけど華がなかったり、全然演技してなかったりするのだけれども、本物の空手家であるということで、空手ならではの動きが素晴らしい。本当に初動が見えないノーモーションの手刀なども見事で、思わず声が出た。アクションも、チンピラが回し蹴りしてくるあたりは謎だが、VS真剣、VS空手は無駄のない最低限の動きで攻防を見せ、一撃で勝負が終わることを表現しつつ殺るか殺られるかの緊張感を見せる。
ライバルキャラに相当する大観役の中先生はカッコいいよ。ヒゲが渋いけど童貞というキャラクターに、見事にマッチするピュアさ! 達人としての雰囲気はさすがだし、演技が素人だから逆に朴訥な印象になってるのだよね。ある意味真面目な故にダークサイドに走ってしまうキャラクターを、表現できている。
一応、脚本も飯田譲治だし、低予算で苦しいながらも黒帯の精神に則った空手対決をテーマにまとめている。安っぽいところも多いが、それなりにメリハリも効いているし、素人の演技で拙くてもストーリーに沿って観て行けば心情も読み取れるようになっている。物足りない部分は梓河人の書いたノベライズをチェックだ! たぬきの出てくるエピソードは、映画にも欲しかったなあ。
リナティが必殺技を連発する『KG』よりもしっかり映画になっていて、小品ながらも楽しめるし、本物の「空手」を観た、という満足感を味わえる作品。ただまあ空手普及にはこれだけでも駄目で、両輪でやっていって欲しいなあ、と思う次第……。
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2011/06/21
- メディア: DVD
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
- 作者: 飯田譲治,梓河人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/01/14
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る