”バウンティ・ハンターってどんな仕事?”『ドミノ』

 トニー・スコット監督が、実在の人物「ドミノ・ハーヴェイ」の半生を映画化。


 セレブな暮らしに嫌気がさし、大学をやめて賞金稼ぎの世界に飛び込んだドミノ・ハーヴェイ。エドとチョコの二人と組み、スリリングな生活を送る彼女は、やがてテレビ局の取材を受けることに。だが、ドキュメント取材の真っ最中に受けた依頼には、実はとんでもない裏があった……!


 この頃のトニー・スコットの、何を考えてるのかわからないスタイリッシュ映像づくりが炸裂! スロー! 巻き戻し! いや、それなりにかっこいいですけど、ちょっと中身が伴ってないような……。全体に散漫で、何を撮りたいのか、どこに注目すればいいのかわからない。
 主人公のドミノの特異なキャラクター? 賞金稼ぎの非日常? 彼らの生きた時代そのもの? トリッキーな構成でつづる事件のあらまし? いや〜、どれも面白くなりそうなのに、順番に垂れ流されるだけで深く描かれない。せっかくのミッキー・ロークもなにかいるだけになっている。オフビートなテンションを生もうとして、何かが決定的に欠けている。
 時系列の前後も裏目に出た感じだな。前半はキャラ解説、後半は複雑な事件という構成にした方が、それぞれに集中できたと思う。奇を衒い過ぎて外したか? とはいえ『スパイ・ゲーム』では完璧にはまってただけに、うまくいかなかったのは、やはり個々の要素の弱さか。


 最後もいい話に落ち着くんだよなあ。泥棒も賞金稼ぎもアウトローの話なんだから、中途半端な泣きの要素など入れる必要なかったのでは……いや、実話だからしようがないのか? タランティーノに脚本書かせた方がよかったのでは……ってそれは『トゥルー・ロマンス』ですが……。


 実在のドミノ本人も、この映画の完成後に亡くなってしまうという間の悪さ。色んな意味で外した凡作。

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