"その曲は弾くなと言ったはずだぞ……!"『カサブランカ』
- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/12/14
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第二次大戦下、パリでイルザという女と出会い、燃えるような恋に落ちたリック。パリがナチスに占領された日、彼女と共にマルセイユに逃れようとしたリックだが、約束の場所にイルザは姿を現さなかった。 時は流れ、フランス統治下の街カサブランカに住み着き、バーを経営するようになったリック。ナチスに逆らう名うての革命家ラズロが、アメリカへの脱出ルートを求めて街にやってくる。そこでリックは、ラズロに連れられた美女……イルザと再会する。
去年の秋に、映画より先に宝塚歌劇(初舞台化だったらしい)で見てしまったんだよね。まあそれ以前に、有名すぎて筋やら名台詞やらみんな知ってたけど……。
しかし古い映画なんだけど、めちゃ面白いね。愛と崇拝、二人の男の狭間で揺れるイングリッド・バーグマンの美しさときたら……。そして、失った愛との再会に苦悩するハンフリー・ボガート=リック。自分の店で、ピアニストに弾くことを禁じてきた思い出の曲、「時の過ぎ行くままに」が聴こえてくる。その曲は弾くなと言ったはずだぞ、とピアニストのサムを叱責しかけた時、かつてパリで自分を捨てて去ったイルザの姿が目に入る。リクエストをしたのはサムとも顔見知りである彼女だったのだ……。
お互い、思いもしなかった再会。普段冷静なリックもその夜は酒に逃げ、会いに来たイルザをなじってしまう……。
うーむ……リックは……リックはオレだ!
いやいや、おまえのどこがハンフリー・ボガートやねん、というのは置いといてですね。裏切られ、捨てられた男の心はかくも傷ついているのに、でもあれほどに愛した彼女を、まだ求めずにいられない……。その気持ちは、誰しも同じではないかなあ、うん。そういう普遍的な意味で言ってるわけでしてね。
その苦悩の中で、イルザの幸福を願い、ある決断を下すリック……。どこか快楽主義的な面を残してるリックに対して、ラズロというのはストイックな自己犠牲精神の塊で、ある意味理想像。一人の女を間に挟んだ二人の男の、愛と献身が問われる話でもある。まるで競い合うかのように……。
あらゆる権力に媚びない皮肉屋のように振舞いながら、実は人情家と看破されているリック。その人間性ゆえに従業員らにも慕われているし、あわよくばナチスに取り入ろうとする地元の警察署長も、彼に一目置き、その人情を不可解なものと思いつつも惹かれてしまっている。うーむ、このかっこよさは永遠だね。
と言うわけで、やっぱりリックはオレなのだ……まあそのようにありたい、ということでよろしく。
wiki見たら、撮影時の裏話とか色々載っていて面白い。結構、適当に作ってるもんなのだな。