『プレデターズ』
シリーズ二作、エイリアンとのVSシリーズ二作を経て、最新作登場!
目覚めたら空にいた……。戦場にいたはずの兵士や、死刑を待っていた殺人犯が、突如、パラシュートをつけられ、ジャングルのど真ん中に空から放り込まれる。動かない太陽、間近に見える惑星、見たことのない生き物たち……。8人が放り出されたそこは、紛れもない異星だった。誰が? なんのために? 答えはすぐに明らかになる。各自、武装している彼らを襲撃する、謎の敵。かつて地球でも特殊部隊を全滅させた姿なき敵が、新たな「狩り」を挑んできたのだ。兵士、ヤクザ、殺人鬼、地球上で最強の殺し屋達を獲物として、自らの力を試すために……!
逃げ場のない異星というロケーションが、緊迫感と絶望感をより引き立てる。割とあっさり「プレデター」という敵の正体をバラしてしまうのだが、一人、また一人と葬られて行く中で、打開策はいっこうに見えない。火力、装備、体力、全てにおいてプレデターが上!
一応リーダー格なのだが、協調性のなさを露にする「戦場のピアニスト」ことエイドリアン・ブロディ。観測手を見捨てた過去を持つ狙撃者アリス・ブラガとの「見捨てるべきか、見捨てざるべきか」の対立を軸にストーリーが展開するため、あまりチームワークで戦う、という形にはならず、この手の映画のお約束通り、少しずつ人数が減って行く王道パターンになる。
そこらさえ割り切ってしまえば、新味はないものの大いに楽しめる。一部で「ダニー・トレホがあんなに早くやられるなんて!」という意見を見たが、いやいや、彼は噛ませ犬時代の方が遥かに長いでしょ……。
ヤーさんの勘違いオリエンタリズムも最高だが、特筆すべきは戦場のピアニストの筋肉。第一作への正統なオマージュで大反撃を開始するエイドリアン・ブロディに拍手喝采。序盤はきっちり服着てるからわからなかったが、クライマックスに向けてここまでマッチョボディを作り上げていたとは……。
華のないヒロインの代表格かと思っていたアリス・ブラガも、最後の最後までライフルにこだわるスナイパーという、職人的キャラを好演。
対するプレデター側が、いささか精彩を欠いたかな……。なんつうか、ネタが割れてるんだよね。基本装備だけで充分強いのだが、行動パターンが見切られつつある。正々堂々と正面衝突したがる精神性が災いしてる面もあるが、キャラクターとしての底がやっぱりいささか浅い。「知恵と勇気」の前に敗れ去る宿命を負った悪役の典型とでもいうか……。
ロドリゲスらしいかっ飛んだテイストは薄いが、第一作を下敷きに丁寧に作ってあり、好感の持てる映画。
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