『殺人犯』


 アーロン・クォックがイメージを一新する大熱演!


 殺人現場で意識を失って発見された刑事。目が覚めた時、事件に関する記憶を失っていた彼は、先輩である刑事を殺した嫌疑をかけられる。自らの無実を信じ、同僚とともに捜査する彼だが、現れる手がかりは、全て彼自身が犯人であることを示唆するものばかりだった。「殺人犯」は自分なのか? 疑念を抱きながらも、妻と幼い息子を守るために、彼は捜査を続ける。だが、行く手に待ち受けていたのは、あまりに恐るべき真実だった……!


 香港映画らしく、色々な要素を盛り込んで、一筋縄ではいかない猟奇殺人ものに仕上がった。ごった煮感覚にならず、時系列順に整理された事件の構造や、小出しにされていく手がかりのバランスもいい。主人公の記憶喪失も、幻覚でアンフェアなミスディレクションをする方向に走らず、きっちりフェアに描いている。


 順々に整理しながら観て行くと、途中で「犯人はこのどちらかか?」というのが徐々に見えてくる。いや、まさかそれは……。


 そのおぞましき真相は実際に観ていただくとして、タイトルに込められたテーマ性も含め、破天荒な割にかっちりまとまったミステリ。単に真相部分だけならば去年の『○○○○』の方が細かく詰めて練り込んであり、映画としては上かと思うが、こちらも盛りだくさんで飽きさせない作り、甲乙つけがたい。


 顔アップを交互に映す演出など、やや新人臭いところもあったが、複雑なストーリーをまとめた手腕、このロイ・チョン監督の今後にも注目したい。


 ちなみにグロ映像も満載です! オープニングからドーンと引きます!


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